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多摩美術大学


希望

村松香穂里 / 工芸学科 ガラス

絶望と希望。人は希望の淵に立たされたとき、希望を見出すことができる。 戦争と平和をテーマに制作し始めてから、私は、この先の世界に希望などを見出せないと思っていた。 広がる格差。貧困の連鎖。未来ある多くの子供たちの死。絶えることのない争いの血。破壊させていく地球。 目を覆いたくなるような悲しい現実が繰り返されている。しかし、ある一人の少女との出会いが私を変えた。 乳児院で育った彼女との出会い。 彼らは、生まれながら母親の愛を知らず、充分甘えることさえできない。彼女もその一人だった。 抱きしめれば消えてしまいそうな、小さな体。生まれながらに背負うこととなった重荷。彼女にはあまりにも大きすぎる重荷。 しかし彼女の周りはいつも愛でいっぱいだ。先生、お友達、そして里親である私の叔父と叔母、新しい家族。母親の愛には及ばないかもしれないが、それでも私たちはそれ以上の愛で、彼女を育てている。 私は、彼女と出会い、絶望の中でも希望を見出せることを知った。そして希望はどんな困難な状況でも、救いの手を差し伸べてくれる。 希望がこの世界を変えていく。 私はそう信じている。

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