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12カ月のパリ
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 12カ月のパリ
 


第21回
FOOD & DESIGN

 update 2004.05.12

レポート : 浦田 薫 / アート&デザインジャーナリスト 




旅をする楽しみは、人により異なる。しかし、多くの旅行愛好家は「食べる」こと、すなわち新しい味覚を発見するために、旅をすると言っても過言ではないだろう。「食」は、テーブルを共有する仲間や家族との間にコミュニケーションが繰り広げられる。そして、人間の5感をあらゆる角度から誘発する。

最近、よく耳にする「フード&デザイン」は話題性があるテーマだ。「フード・デザイン」といえば、食そのものをデザインすることであるので、ここではあえて食とデザイン2つの領域について、ミラノとパリで開催されたイベントから触れてみる。


■ ミラノ・サローネから
パリ−ミラノ間は、飛行機1時間の近距離である。もちろんEUの同胞とはいえ、異文化であることには変わりはない。イタリア人が話す声のトーンは、何デシベルもフランス人より大きく聞こえる。「食」においても、食材になる原材料の加工の仕方や、パスタにアルデンテがあるかないかの違いのように、食材の質感も異なる。


■ Dining Design
4月のサローネ会場では、世界のデザイン学校10校が10軒のレストランをデザインした。このイベントは、サローネを企画するCOSMITが主催し、各々にスポンサー企業が協賛した。新人デザイナーが展示をするサテリテ会場の下階ということもあり、賑やかな雰囲気に包まれていた。新しい課題を投げ掛ける場所としては、好条件である。

Staatliche Hochschule für Getaltung Karlsruhe(ドイツ)の学生たちは、Quicnic(Quick+Picnicの造語)と題するハンバーガーのファーストフードを提案した。都会の中に人工的な自然を再現した空間は、ゴム状の芝生が敷かれ、テーブルと組み合わせたモデュール式のベンチで構成されている。
ランチボックスは、紙で作られたバッグの底面にメニューが表示されており、選んだ商品をその中に入れる。
サービスをするスタッフは、大きなポケットのついたエプロンを身にまとい、その部分がゴミ袋にもなる。エコロジカルな考え方である、と、一言で評価することはできないかもしれないが、70年代のスピードを重視したファーストフードに比べ、この提案はポスト・スローフードにみる、食べるための演出に力を入れている。個人単位の「ファーストフード」と、グループを意識した「ピクニック」の融合がキーワードである。 【 写真 1〜6 】





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【 1 】 モデュール式のベンチ+テーブル ©Staatliche Hochschule für Getaltung Karlsruhe

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【 2 】 quicnicモデュール展開図 ©Staatliche Hochschule für Getaltung Karlsruhe



【 3 】 スタッフのユニフォーム
【 4 】 エプロン部分のポケットがゴミ回収用の袋になる
【 5 】 quicnic ランチボックス ©Staatliche Hochschule für Getaltung Karlsruhe
【 6 】 ランチボックス パッケージング ©Staatliche Hochschule für Getaltung Karlsruhe



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