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12カ月のパリ
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第18回 (3)
家具の新ブランド 6jo





■ 6joの課題
メゾン&オブジェの会期中、JLS社の代表取締役の上出氏に、直接お話を伺うことができた。

「日本のエディターが、フランス人デザイナーを起用することで、日仏間の生活様式について考える場を設けた訳ですが、日本の生活環境を観察してみると、リビングで寛いだり、テレビを見たりする時に、どのように座っているかというと、ソファーがあっても、上には座らないのですね。床に足を投げ出して座り、ソファーの座面に腕を掛けたりする行為が頻繁に行われているのです。このような生活模様を用品や家具に置き換えてみることが、スタイルを打ち出すことのように思われます。フランス人と仕事をすることで、日本の生活様式を新たに発見することができました。それを代表するのが、このC+B LFEBREのソファーだと思います」と、説明する。フランスはデザインよりもデコールのイメージが根強い。日本のシンプルモダンと融合することで、新たなスタイルを誕生させることができるのだろう。

ブランドを立ち上げるまでの経緯については、このように触れていた。「CDRAから推薦されたデザイナーから今回のメンバーを選出したのですが、当然、今までのデザイナーとしての実績を考慮しました。しかし、その段階では図ることはできなかった価値として評価したいのが、それぞれの人格です。“郷に入っては郷に従え”と言いますが、異文化活動で大切なことは、プロジェクトを育む人材です」

デザインを形成する要因をしっかりと固めていく作業は、エディターにとって不可欠である。今回のプロトタイプは一部を除き、桜製作所で作成された。その際、初めての来日であったメンバーもいるが、日本滞在を経験した後、このようにコメントをする。「フランスと日本は、工業国でありながら、文化に対する敬意や伝統に対する姿勢が共通しているように思われます。東京のような混沌とした大都会だけを見て日本を理解しているつもりでは、物事の考え方も偏ってしまいます」

「日本はこれでいいのか?」 消費社会の行き詰まりは、工業に携わる多くの日本人が共通して感じていることであろう。これはフランスにおいても同様で、パリを中心とした中央集権体制で経済や政治が動くこの国では、地方の産業が存続していくために、地元の人間が行動に出ることを意識しなくてはならない。そのためには、小さな力の団結、理解しあえる人々とのネットワークを築いていくこと、必ずしも地元の集団とも限らず、外部からの厳しい意見も取り入れながら、核となる材料を楯に周辺環境を固めていくことが肝心なのである。妥協しないビジネス展開を進めていく上で不可欠なものは、やはり人材なのである。

異国関係の絆を結ぶためには、共通の問題意識をいかに掘り下げていくか、Local to Localビジネスは、利益を期待した容易な展開を望める訳ではないだろう。しかし、小さな課題にズームアップして、解決方法へつなげるための唯一の手段といっても、過言ではない。 【写真 15 】


「6jo」のウェブサイト:http://www.6jo.net
※現段階ではフランス語のみですが、近日中に日本語でも公開予定です。







15.jpg
【 15 】 6jo 2004年1月メゾン&オブジェにて ©Kaoru URATA

写真は明記されたもの以外全て ©6jo



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