東京・パリ・ロンドン、そしてミラノとデザインを発信し続けるカロ・デザイン。日本の職人技が生み出す美しさを主張しながら、日本にとらわれない発想が面白い。
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水盆《RIPPLE》。「和」を前面に押し出すのかと思ったら、なんと傘の雨しずくを受けるトレイ。山田佳一朗のエレガントな仕事は、今年さらに磨きがかかった。波紋はいろいろなところで目にした今年流行のモチーフ。
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組み立て型の椅子《SLIDER》は、一人がけ、二人がけと組み立てが自由。奥に《RIPPLE》が見える。同じくデザインは山田佳一朗。
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POLY-SITEのユニットとして今年3年目の展示。カタチを作らないデザインを探る浅野泰弘はすでに商品化されているエレメンツ、《CD JOY (CD+JOINT)》を出品。手持ちのCDが増える分だけCDを効率的に収納できる仕掛けになっている。手前は梶本博司のオブジェのような照明《NO SOUND》。光源を取り巻く細い管には実際に赤ワインが入っており、それが毛細管現象でじわじわと上に上っていく。美しく幻想的な光を演出する。
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同じくPOLY-SITEの藤田寿伸による照明。LEDと透明ミラーを使っており、ミラーには物語が書かれている。こちら側とあちら側——自分がいるのは一体どっちなのか——幻想的な作品。手前に見えるのが新井宏之の作品。リボンのような照明《Ribbon swingin', ribbon singin'》。揺れて歌って——当初は音が出る予定だったが、メッキ塗装をしたら静かな照明になってしまったそうである。
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美船安利が展示したのは、前回とは打って変わってコンパクトな箱型照明《KIBAKO》。
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同じく美船安利のデザインから。提灯のように中の布を伸ばして明かりを楽しむ。伝統的な「和」をうまく利用した淡く柔らかな作品。季節ごとに取り替えられるよう4種類用意されている。
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今年3年目の展示となり、「今回はサテリテ出展の卒業作品としてコンセプチュアルなオブジェで“トネリコ”を表現しました。数字は世界中の人が理解できる共通の記号として、人それぞれに意味を持ちますよね。誕生日とか友達の電話番号とか。それでモチーフとして採りあげました」と語るトネリコ。白がインパクトを放ち、ブース全体が数字に包まれる。影の美しさにご注目。
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SO-DESIGNも「共通のイメージや記憶を想起させる」というテーマを追うデザイナー。ペンダント・ライトはボタンをイメージしたもの。ノスタルジックな雰囲気が漂う。
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TOTOのインハウス・デザイナー集団OTOTOのブースで見た《Couch Bath》はありそうでなかった形のバスタブ。発想の面白さに惹かれるとともに、ぜひ製品化してほしい作品である。
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フィンランドで活動実績を持つアリヒロ・ミヤケのブースで見たのは、美しくてなるほどな、と思わせる延長コードの機能を持つゴミ箱《TRUSH IN -EXTENTION CORD》。フェルトという素材も、ゴミ箱の存在感を柔らかくしてうまく使われている。この春から活動の拠点をミラノに移した。
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美しさと楽しさを兼ね備える《jellyfish》。水の入ったタンク部分がスツールになっており、はじくとLEDが映し出す波紋が揺れる。楽しいパフォーマンスが続く。イギリスで活動するCO/EXのコウタ・ネズによる作品。
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同じくCO/EXから照明《tornado II》。こちらも波紋をモチーフにした作品で、ケイ・ヤマモトのデザイン。
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触れることのできる明かり《bomboli》。大谷敦志のデザイン。手前は手で折って自分の好きなカタチを楽しむ《origami》。どちらも感覚を大切にする優しい形である。
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「今回の展示用の荷物はこの木箱にすべて入りました」と語る安藤健浩。ステンレス製ランプ・シェード《Sheet Shade》は量産を意識したシンプルな作品。肘掛け椅子《Strap chair》はインパクトがあった。座面は梱包用ビニール紐で作り出す。座り心地はなかなか。
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タカシ・キリモトの作品からは和紙を通しての光が美しい照明《AYABI》。手を掛けすぎないシンプルな作品だが、印象に残る。
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サテリテから最後に紹介するのはミラノで活動するM+K DESIGNのブース。透明アクリルを使った椅子やテーブルは照明にもなる。二人で考え、二人で作る。マイコ・ワタナベとコウイチ・タナカの息の合ったデザインは、いずれの作品も完成度が高く、すでに商品化されているものもある。
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