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2005 ミラノサローネ特集
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三國秀美 : Milano Slone 2005 Report !
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フォーリ・サローネのなかでも代表的な地区、ゾーン・トルトナの一角
JDNメイツでおなじみの三國秀美氏によるレポートをご紹介。上記写真はフォーリ・サローネのなかでも代表的な地区、ゾーン・トルトナの一角。巨大イモ虫のオブジェが遠くからでも目立つ。

三國秀美
Hidemi Mikuni




伊オリベッティ社でのプランナーを経て現在フリーランス。編集、翻訳、マーケティング・リサーチなどを通してITとデザインの分野で活動中。





2005年——ミラノ・サローネと街を飾るデザイン


1.サテリテとネオ・クラシック

今年は初日といわず、天気の良い日が多かったミラノ・サローネ。無料で開放されるパビリオン9、通称サテリテには例年通り多くの人が来場していました。サローネではたくさんの日本人が出展し、海外に向けての発信に力を注いでいます。ネットでの情報発信や国内での活動にとどまらず、このユーロ高の時期、デザインの中心地と言われるミラノに乗り込む姿勢は、個人を超えて日本のデザイン・パワーをアピールするのに大きく貢献するでしょう。ブースの写真などは後ほど紹介するとして、最初にサテリテの会場について触れることにします。


サテリテの会場
サテリテの会場から。通路を眺めると、港町を意識したような会場構成。
 



会場では、主催者Cosmitとミラノ・トリエンナーレが協力して、『ジョヴァンニ・サッキのモデル』と題して、トリビュート展が開かれていました。モデルとはモックアップのことで、サッキは50年ほど前にマルチェロ・ニッツォーリと出会い、それ以降デザインの介在者としてあらゆる商品のモデリングに携わり、デザイン史にその名を残しました。60年にわたるキャリアのなかで制作した木製モデルは2万点とも言われ、多くは依頼者の手へ渡り、工房に残されたものは貴重な資料となっています。その中から今回はタイプライターや電話、照明などが展示されました。なかには現在でもアリタリア航空の機内で目にすることができるカトラリーの原型も。ジョエ・コロンボのデザインですが、時代を超えて生き残るデザインはこうした基礎があってこそなのかもしれません。


ジョヴァンニ・サッキのプロトタイプ作品
静かに展示されていた、ジョヴァンニ・サッキのプロトタイプ作品。




 


マルチェロ・ニッツォーリのデザイン
マリオ・ベリーニのデザイン。タイプライター。



マルチェロ・ニッツォーリのデザイン
マルチェロ・ニッツォーリのデザイン。1950年となっている。




 


マルチェロ・ニッツォーリのデザイン
こちらもマルチェロ・ニッツォーリのデザイン。1960年。計算機。



ジョエ・コロンボのデザイン
ジョエ・コロンボのデザイン。メーカーはリチャード・ジノリ。1972年。




このトリビュート展に加えて、トリエンナーレでのガエターノ・ペッシェ展やアレッサンドロ・メンディーニのイラスト展と、70年代から80年代にかけてのデザイン激動期に活躍した巨匠たちの名前が目に止まることが多く、今年のミラノは懐古調になっていました。章タイトルに"ネオ・クラシック"と入れたのは、テクノロジーを駆使してスピードと緻密さを増しながら前衛に向かうデザインと、時が止まったように静かで優雅な美しさを追求するデザインの二つの方向に分かれたと実感するとともに、後者の時代を超えたデザインが目立っていたからです。懐古的な展覧会が重なったのも、偶然とは思えません。


ロドルフォ・ボネットのデザイン
ロドルフォ・ボネットのデザイン。形のみならず、触り心地、バランス、デザインのすべてを実証していたことをうかがわせる。




 


リチャード・ザッパーのデザイン
リチャード・ザッパーのデザイン。



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