あのヒトが選ぶ、BEST BUY 2016あのヒトが選ぶ、BEST BUY 2016

THE株式会社 代表取締役社長米津雄介が選ぶベストバイ2016
“これひとつですべて賄える、プリミティブなデザインの万能ナイフ”
THE株式会社 代表取締役社長 米津雄介

経営者/プロダクトマネージャー。1980年東京都生まれ。東京造形大学卒業後、プラス株式会社にて、文房具の商品開発とマーケティングに従事。2012年にプロダクトマネージャーとしてTHE株式会社に参画し、全国のメーカーを回りながら、商品開発・流通施策・生産管理・品質管理などプロダクトマネジメント全般と事業計画を担当。2015年3月に代表取締役社長に就任。London International Awards 2015、D&AD Awards 2016など受賞多数。共著に『デザインの誤解』(祥伝社)

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タダフサの漁師のナイフ

新潟県の三条市にある、「庖丁工房タダフサ」で買ったナイフです。もともと漁師さんがロープを切ったり魚をさばくために使っていた万能ナイフで、野菜を切ったりアウトドアで使ったりと、ぜんぶこれひとつで賄えるんです。刃物は用途別に最適化されてきた歴史がありますが、これは本当に原始的で、鋼を使ってタフにラフに作られています。

普段から売っているかはわからないんですが、一時期、実験みたいな形でファクトリーショップで売っていたみたいなんです。僕はたまたま、アウトドア用にナイフが欲しいなってタダフサの社長と話をしていたら、「これどう?」ってすすめられて。本体だけでなく、革のケースもタダフサさんでつくったそうです。

この少しチープな感じがまた良いんですよね。売ることを意識せずつくってみた、みたいな感じがたまらない。すごくプリミティブで、刃と柄のモノとしてのギャップがある感じが気に入っています。

今回の企画で今年買ったものを考えてみたんですけど、すごいお金使ってるなと少し落ち込みました…(笑)。とは言え、モノを買うのは仕事の一部で、買っては使ってを繰り返していろんなことを学んでいってますね。ほとんどが失敗で、いつまで経っても買い物上手にならないですけど(苦笑)。

■いま探しているもの・欲しいもの
誰か売ってくれるななら売って下さい!って思ってるほど欲しい、岩崎一郎さんがデザインしたグラス「ICE」です。10年近く前に、京都のインテリアブランド「スフェラ」と岩崎さんが一緒につくったものなんですが、廃番になってしまって手に入らないんですよ。何とも言えない変わった形をしていて、作家モノに見えるけど、超デザインモノ。実は1個持っているんですけど、どうしても何個も欲しい…。実際に手に持ってみると、モノとしての、手の中での存在感がすごく良くて、ありきたりな言葉なんですけど、手から生まれた形なんだろうなって思います。

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