
- PAPIER LABO. 江藤公昭
PAPIER LABO.ディレクター。ランドスケーププロダクツでインハウスデザイナーとして在籍時に紙にまつわる、「紙と紙にまつわるプロダクト」をコンセプトにオリジナルプロダクトや世界中から独自の視点で選んだグッズを取り扱う雑貨屋「PAPIER LABO.(パピエラボ)」をオープン。活版印刷をはじめとした印刷物のオーダーを承る窓口を設けている。
http://papierlabo.com/index.html
ピーター・ズントーのテーブル
スイス旅行に行ったときに買ったものです。旅先ではピーター・ズントー(Peter Zumthor)が設計した、「テルメ・ヴァルス」という温泉スパ施設に泊まったんですよね。そのホテルは以前から絶対行きたいと思っていた場所で、ちょうど僕らが行ったときが改装のための長期休暇開けの初日でした。
その「テルメ・ヴァルス」の前にある建築設計事務所に、どうやら改装するときに引き取った調度品がボンッと置かれてて、そこに「Peter Zumthor」と書かれてて。ズントーは建築家なんですけど、家具もつくっていて、「テルメ・ヴァルス」の調度品も手がけてたんですよ。でも自分が知る限り、彼がつくった家具はなかなかふつうに買えるものがなくて。
僕らは土日に泊まったんですけど、その事務所は土日休みだったから、ずっとガラスの前に張り付いて狙ってました。もう、みんな狙ってんじゃないかなって思ってたから気が気じゃなかったです(笑)。あきらめきれず月曜日の朝も待ってたら、ついにその事務所の人がきて、開いた瞬間にバーっと行ってこれがほしい!と。「うちは家具屋じゃないから梱包も何もできない」と言われて、レンタカーにとりあえず積んで、段ボールで何重にも梱包して持って帰りました。ギリギリ数mmの差で、飛行機の手荷物OKみたいな感じでしたね(笑)。
そういう必死な思いをして買ったのは久々ですね。若いときはそういう風に服を買ったりとか、家具とかもいま買わなきゃとかあったじゃないですか?でも、いまはネットで画像検索してほしいものがあったらポチッと買えたりするけど、こういうものが存在すること自体知らなかったので、こういう出会いの喜びは格別ですね。
すごいシンプルなつくりなんですけど、見れば見るほどつくりがよくわからない(笑)。こんなに細くてしっかりしている。過剰に大きいわけでもなく、高さもちょうど良くて、日本の住環境に合うなって思っています。たぶん、これはスパに置いてあったんじゃないかな?だから、湿気とか含まないようにつくられてるのかなと思います。
■いま欲しいもの・探しているもの
日本酒ですかね。お酒って年によっても出来が変わるからずっと一期一会が続いてます。地方に行ったりしたときに、ぜんぜん東京に出てこないやつに出会えるのもおもしろいですよね。