ミラノサローネ特集 さまざまな企業やデザイナーの出展情報や見どころを紹介
ICHIRO 「JAPANESE TRADITIONAL THINGS」 with Jo Nagasaka
長坂常氏がアムステルダムのLLOYD HOTELのためにデザインした新発想の家具シリーズを伊千呂が製作
2014/06/11
JDN編集部
化粧板メーカーの伊千呂は、建築家・長坂常(スキーマ建築計画)氏による新たな発想の照明、テーブル、スツールのプロトタイプを、ミラノサローネ期間中ロッサーナ・オルランディのスペースで発表した。
伊千呂と長坂常氏によるコンセプチュアルワーク
伊千呂は2013年、長坂常(スキーマ建築計画)氏とともにデザイン家具分野のリサーチを行い、これまで言語化されてこなかった家具と空間の関係性に着目し、アクティビティを豊かにする家具のコンセプトをまとめた。今回の展示は、このコンセプトに基づき、伊千呂が既存の家具カテゴリーに留まることなく、新たな領域へと拡大するためのコンセプチュアルワークのひとつだ。
今回発表したプロトタイプは、2014年に10周年を迎えるアムステルダムのLLOYD HOTEL のために長坂氏がデザインし、伊千呂が製作協力したもの。「TAKE KAGO」と「SHIBARI」、2つの家具シリーズがお披露目された。
TAKE KAGO
TAKE KAGOでは、竹籠×紙による照明、竹籠×ラバーによるベンチ、竹籠×エポキシによるテーブルを発表。日本の伝統的素材である竹を用いた軽くて強度のある竹籠と、現代の素材を組み合わせ、新たな用途を生み出すことにチャレンジした。
上部を照らす間接照明と下部を照らすダイニング照明の2wayで使うことができるTAKE KAGO照明は、電球の取り付け位置をかえれば、床置き照明としても使うことができる。TAKE KAGOベンチは、本来、座るには十分ではない強度の竹籠にラバーを絡めることによってその強度を増すと共に、竹籠特有のささくれをカバーし、座ることを可能にした。結果、軽いベンチが生まれ豊かなアクティビティを生み出している。TAKE KAGOローテーブルは、編み方の立体感を利用した凹凸に、色の付いたエポキシ樹脂を流し込むことで色の濃淡が生まれ、テーブル側面に表情を生み出した。長坂氏にとって垂直面にエポキシ樹脂を使用したはじめての試みだという。
SHIBARI
SHIBARIはスポンジとラバーを組み合わせたソファだ。一枚のスポンジを折り、縄でしばることで造形され、ラバーにつけて表面をコーティングしたもの。縄が食い込むことでスポンジの弾力性が誇張され、造形的にも面白い。結び目を持つことで容易に持ち運びができ、アクティビティを豊かにしてくれる。
JAPANESE TRADITIONAL THINGS with Jo Nagasaka 開催概要
会期 | 2014年4月8日(火)~ 4月13日(日) |
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会場 | Spazio Rossana Orlandi |
参加クリエイター | 長坂常(スキーマ建築設計事務所) |
公式サイト | http://www.ichirodesign.jp/ |
参加クリエイター
長坂常/スキーマ建築計画
建築家。1998年東京藝術大学美術学部建築学科卒業。同年、スキーマ建築計画開設し、その後、2007年事務所を上目黒に移転し、ギャラリーとショップなどを共有するコラボレーションオフィス「HAPPA」を設立。