Onion Kettle　2003年

タマネギの形が大好きです。ビザンチン様式やイスラム、ロシア建築、日本のギボシなどにもそのイメージが見られる、最も美しい単純回転体の一つだと思います。ネーミングやロゴ、パッケージまでがひとつの製品のデザインに含まれると思うのですが、これは全部やらせてもらいました。ロゴはヤカンなので、湯気の出てくる感じ。完成品が出来て社長が見せてくれた時、さりげなくヨゴレを艶出しの布で拭いている姿を見て、何か彼の自社製品に対する愛のようなものを感じ感銘しました。

• 18-8ステンレス製　電磁調理器対応
• 5,250円（税込）
• K+dep（株式会社クリヤマ）

Alba Directed by Riki Watanabe series　2002年～

アルバのスタンダードモデルの革新を目指して、渡辺力氏が監修したウオッチシリーズの文字盤デザイン。企画・デザイン・営業がとてもうまく協働でき、事業としても成功したのですが、これは今の時代のモノ作りにとって非常に重要なことではないでしょうか。そこにはやはり何かプラスアルファが必要で、今回は渡辺力という求心力が大きかったと思います。
ギャラモンやボドニーといった完成された基本的な書体を、シンプルで見やすいけどどこか違う文字盤を模索してアレンジする微妙な世界は楽しかったし、また書体の美しさを再発見させてもらいました。ギャラモンを使った4000円のモデルはバンドにイタリア製のなめし革を使い、それだ けでもこの値段がするのでは？というコストパフォーマンスも魅力です。

• 4,000円（税込）～
• セイコーウオッチ株式会社

LIghting

写真左から

Kri　1992年

日本とイタリアで活躍する、照明デザインの師匠浅原重明氏との協働作品。
12Vハロゲンのソケットホルダーが器具の本体デザインになっています。アルミ押出で成形してカットすることをイメージしていたのですが、実際には後処理が大変ということで、アルミダイキャスト製です。横に伸びたアームの穴を使い分けることにより径の違う20/50Wのダイクロハロゲンランプに対応します。フードはアルミ押出製。
他にスタンドや、ダブルランプバージョンもあります。日本では山田照明が輸入していました。イタリアで、自分たちで真鍮を旋盤や酸素溶接で加工し、また近所のメッキ屋でクロームメッキさせて、リアルなファンクションモデルを作りながら開発したのも楽しい思い出です。

• Lucitalia s.p.a

M.Borsillo　2005年

タマネギモチーフのペンダント照明。一枚の吹きガラスですが、底部を凹ませサンドブラストし、そこに電球を配置することで二重セードの効果を出しました。ガラスの中空部分にビーズを入れたり、金魚鉢のバージョンは？！と言ってみたのですが、キレ者の担当ディレクター氏に黙殺されました。クリヤー・ブルー・アンバーの3色があります。

• 27,090円（税込）
• 大光電気株式会社

Clock

写真左から

AY-clock　2003年

渡辺力氏とデザインした腕時計の文字盤があまりに気に入ったので、掛け時計にさせてもらいました。敬愛するメーカーの社長はあまり気に入らなかったみたいでAY-clockなどという投げやりなネーミングになってしまったのですが、ジリジリ売り上げを伸ばしているようです。文字と盤の色合いがとてもきれいです。
枠はプライウッド製。

• 5,250円（税込）
• 株式会社タカタレムノス

Φclock　2000年

文字盤と時分秒針の高低差、そして色を使って中心と外周が繋がるような時計をイメージしました。結構うまくできたと思い、また展覧会での評判もそれなりなので、モデル作りの自信もあって、自分で作ってセルフプロダクトとして売り出してみましたがパッとしませんでした。でも大学の恩師から在学以来初めて誉められ買って頂いたので満足です。
アクリル / ABS樹脂製。

• 6,000円（税込）
• セルフプロダクト

Bellacosta　2006年

海岸の掃除をする自走式ビーチクリーナ。製造は川崎重工と神戸製鋼の事業統合会社、販売は新キャタピラ三菱というすごい布陣。あまりたくさん作るものではなく、板金・パイプの曲げ加工という制約のなかでのデザインでした。海岸で使うので、軽やかなイメージにするためクローラの車輪部に色を入れたのもポイントです。ネーミングとマークデザインも担当し、マークは砂浜・海・空を表しています。

• 製造：株式会社アーステクニカ
• 販売：新キャタピラ三菱株式会社

Riki Wire　2005年

上下の輪をワイヤーで繋ぐ、玄関での靴の脱ぎ履きに使える、軽いスツールという渡辺力氏のコンセプトを基にした高低2種のスツールとテーブル。高田製作所の高度なアルミ鋳物技術を駆使しつつ、見た目に軽く、持っても軽いということを実現するため、輪のフチ形状、強度を保った断面の薄肉処理に苦労しました。
座面は牛革製、テーブルトップはガラス製。

• 45,000円（税込）～
• 株式会社タカタレムノス

Vector 3 RV　1998年

ミニバンをターゲットにしたカジュアルイメージのタイヤサイドウォールデザイン。4つのスプラッシュマークが追っかけっこをしているみたいにも見えます。大きいだけに鋳型もちょっと特殊で難しいようですが、ピレッリも同時期に実験的なデザインを発表していたし、タイヤのサイドウォールももっといろいろあって良いと思います。

• 日本グッドイヤー株式会社

Rear under mirror　1996 / 1997年

市光工業デザインディレクター秋月邦雄氏とのデザイン。
ミニバン等の後方死角を見るミラー。樹脂曲面にクロームメッキをかけ鏡にすることで、アームとの接合部を含めて1枚板という形状や、連続した曲面躯体の半面がミラーという形状が可能になりました。ホンダステップワゴン・ストリーム・モビリオ等の純正ディーラーオプションに採用され、自分がデザインしたものの中でもっとも目にする機会が多い製品でした。

• 市光工業株式会社