第63回渡辺 誠(建築家)
[桐山登士樹の推薦文]
この原稿を書くにあたり久しぶりに大江戸線飯田橋駅に行ってみた。有楽町線から乗り換え、さまざまな色が氾濫するコンコースを抜けて、大江戸線エリアに入ると、先ほどのハレーションエリアとは一線を画す知的なエリアが迎えてくれた。開業から丸3年が経過するが目だったダメージもなく、落ち着いた雰囲気が漂っていた。久しぶりに知的な東京を感じた。どうして建築家が携わったものと、そうでないものとに、こんな差がでるのだろうか。このプロジェクトを実現するために7年間土木と戦ったと、渡辺さんが話してくれた事を思い出した。話は変わるが2001年の春、元ソニー役員の黒木靖夫さんと一緒にノーマン・フォスターが手がけたロンドンとビルバオの地下鉄駅を見に行った事がある。その時、日本のパブリックな建築はもっと都市の可能性と知的水準を表すべきだと強く感じた。渡辺さんからご案内をいただいた九州新幹線新水俣駅は、残念ながらまだ行く機会を失っている。夏までには訪れ、このチャレンジブルな建築家の仕事を確認したいと思っている。

渡辺 誠 / Makoto Sei Watanabe
[略歴]
1952年 | 横浜市生まれ |
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1976年 | 横浜国立大学 大学院修士課程修了 |
磯崎新アトリエを経て | |
1984年 | アーキテクツ オフィス設立 |
東京電機大学、法政大学、横浜国立大学大学院等兼任講師。 | |
「地下鉄大江戸線飯田橋駅」にて日本建築学会賞(作品賞)、グッドデザイン賞金賞の他、 | |
米国ランドスケープ協会賞、iFデザイン賞top10(独)など、内外で受賞多数。 |
[著書]
- 「建築は、柔らかい科学に近づく」 (02年 建築資料研究社)
- 「INDUCTION DESIGN」 (02年 Birkhäuser/スイス/伊)
- 「MAKOTO SEI WATANABE」 (98年 L'ARCAEDIZIONI/伊) 他。
[連絡先]
渡辺 誠/アーキテクツ オフィス
URL : http://www.makoto-architect.com
e-mail : msw@makoto-architect.com