第56回笹川寛司(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
今回も若いデザイナーである。ちょうど一年前の夏、知人の紹介で笹川さんと会った。デザインを見て欲しいとの要望だったがあいにく東京で会う時間が無く、毎月通っている富山県総合デザインセンターまで来ていただいた。富山までは羽田から1時間の距離だが、笹川さんは実家のある新潟から3時間以上も時間を要して現れた。持参されたポートフォーリオを見て、二つのことを感じた。務めているミラノのスタジオで行っているデザインは、完成度も高く安定していた。一方プライベートなデザインは、未完成の部分が目に付いた。多くの若いデザイナーがそうであるように表現はうまいが、その背景となるコンセプトに説得力がない。誰に向ってデザインをしているのか、どこに違いがあるのか、デザインする前の頭の整理が必要である。今回送られてきたデザインを見ると、ちょっと厳しい助言に闘志を燃やしてくれたようで安心した。これまでに類を見ない成熟社会にあって、オリジナルデザインを生み出すのは至極大変なことではある。近日、足掛け7年生活したミラノを離れ、東京を拠点とするらしい。新しい旅たちを期待したい。

笹川寛司 / Hiroshi Sasagawa
[略歴]
1973 | 新潟県生まれ |
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1992~1996 | 北海道東海大学芸術工学部デザイン学科 |
1996 | 渡伊 |
1997~1999 | Istituto Europeo di Design インダストリアルデザイン学科(Milano) |
1998~2003 | 建築デザイン設計事務所 Studio De Ponte & Gaeta 勤務(Milano) |
2002~ | フリーランス活動開始 |
[展覧会]
1998 | OPOS UNDER 35 (Milano) |
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1998 | Vinitaly Progetto Millennio (Verona) |
2003 | La Dolce Vita (Stockholm) |
[連絡先]
e-mail : hiroshisasagawa@hotmail.com