第3回羽生野亜(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
1月中旬、東京西麻布の画廊・桃居・で羽生野亜の木工展が開催された。最終日の夕方、画廊を訪れた私は、展示された作品の完成度とともに多くの作品に売却済みの赤印がついているのに驚かされた。この展覧会を見て、再び羽生野亜さんが放つデザインについて考えたくなった。
羽生野亜は、工業デザイナーとして出発するが大量生産を目的としたモノづくりに2年間で見切りをつけた。その後、普通の人が買えるくらいの価格で、デザイン性に優れ、身近に置きたいモノを作ることを信条と定め再スタートする。
一見、古木を削りだしたように感じられる作品は、すべて新しい木(カバ材、ブナ材、山桜材)をわざと逆目で削りだし仕上げ、草木染めで色をつけて、カシューで塗装し、古木のような風合いを醸し出している。ロットに限りはあるが、ある程度の量を作ることは可能としている。
時代の進化に忘れがちな風合い、手触り、心地よさを羽生野亜は届けてくれる貴重な存在だ。

羽生野亜 / Noa Hanyu
[略歴]
1965 | 神奈川県生まれ |
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1989 | 多摩大学美術学校卒業 |
1989~1991 | 株式会社GK勤務 |
1995 | 朝日現代クラフト展奨励賞 |
1996 | 朝日現代クラフト展招待出品 |
日本クラフト展グランプリ | |
工芸都市高岡クラフト展グランプリ | |
1998 | 工芸都市高岡クラフト展招待出品 |
個展、グループ展等多数