第35回小泉 誠(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
小泉誠さんのデザインからは、美しいハーモニーと牧歌的な落ち着きを感じる。本人も同じく、場面がどうあれ実に自然体でいられる人だ。都会の喧騒からスタンスを置くナチョラルなデザインは、力まず、誇らず、媚びず、デザインそのものを細部に渡り楽しんでいるかのようだ。たぶん子供の頃から工作が大好きで、夢中に何時間でも取り組むタイプであったのだろう。そんな私の描く小泉さんとは対照的な場面が一ヶ月前に突然起こった。個性の強い面子との宴席であったが、小泉さんからいただいたメールには「うわさには聞いていましたが、なかなか凄い飲み会でした。デザインのうまれる現場をライブで見ているようで、とても楽しかったです」と書かれてあった。さて、小泉さんにはもっと多面的な活動を期待したい。それは限りなくIDデザインへのトライアルである。ぜひとも大手の家電メーカーさんには、デザインの機会を提供していただきたい。

小泉 誠 / Makoto Koizumi
[略歴]
1960年生東京生まれ。
デザイナーの原兆英・原成光両氏に師事した後、1990年コイズミスタジオ設立。
生活用品から、家具・空間・建築に至まで生活に関わる全てのデザインを手掛ける。
1999年より多摩美術大学環境デザイン学科非常勤講師。