第30回菰田和世(インテリア、プロダクトデザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
モンテカティーニ テルメ 2000年プロジェクト 「水のかたち」は、飲泉保養地の生命線「水」をテーマにしている。そして、その「流れ」により未来を投影する。このプロジェクトの概要をミラノの菰田スタジオで聞いたのは2年ほど前のことである。いま、こうして菰田デザインを眺めて、柔らかく、優しく、そして美しく、包むようなデザインは、いつのまにか菰田デザインの特色となった。乾いた生活に潤いを与える癒し系デザインなどと、寸評するとお叱りのメールが届くかも知れない。
12年前にミラノに渡り、デニス・サンタキアラに師事した菰田さんは彼のデザインに対する姿勢に影響を受けたと言う。表現力の多い、高い、時代を捉える力は、現在の菰田デザインとシンクロする。デザイナーはミラノに数多くいれども、菰田デザインと同様のテイストを持つデザイナーは見当たらない。さらに菰田さんの時代と向き合う姿勢が半端でない。ミラノは生まれ持ったものと、骨格を補強する筋肉とがうまく噛み合う場所(環境)らしい。

菰田和世 / Kazuyo Komoda
[略歴]
武蔵野美術短期大学、工芸(プロダクト)デザイン科卒業後、ジ・エア-デザインスタジオ(株)等を経て、1989年渡伊。
スタジオ・サンタキアラに勤務の後、フリ-ランスとしてミラノを拠点に活動。
インテリアデザイン、家具、小物等のプロダクトデザインを中心に、カラーリング、ブランドコンセプトメイキング、インスタレーションまで、活動範囲は多岐にわたる。主な仕事にドリアデ社、アチェルビスインターナショナル社、ドロンブラクト社などのヨ-ロッパ一流メーカーのプロダクトがある。