第29回廣田尚子(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
廣田尚子さんを知ったのは、97年のミラノでの展覧会の時だと思う。
世界のデザイン界と比較すると、日本のデザイン界はインハウスが主体で個人に焦点が当たっていない分ベールにかかった様に見える。そんなデザイン界から彗星のように現われたのが廣田さんであった。実に清涼感溢れる登場であったと記憶する。バックに視点を定め、素材の研究、カラフルな色使い、キュートなカタチ、伸びやかな造形・・・は、一つのアイコンとして脳裏に記憶された。たぶん、こうした創造性の高いデザイナーを日本のデザイン界は、古びたシステムの中に閉じ込めているのだろう。デザイナーよ勇気を持て、そして世界のマーケットで一人で戦え、そんなメッセージを投げかけたくなる。
1年前、サローネのパーティで、イタリア人経営者を相手に一歩も引かずに堂々と渡り合う姿は、勇ましい戦士のようでもあったことも記憶している。

廣田尚子 / Naoko Hirota
[略歴]
東京生まれ | |
1990 | 東京芸術大学卒業 |
(株)GKテック入社 | |
1994 | 国際バッグデザイン豊岡-コンペ 金賞 |
1996 | ヒロタデザインスタジオ設立 |
1997 | 個展(ミラノ) |
1998~ | Premiere Classe展(パリ) |
The I.D. Annual Design Review(アメリカ) | |
Honorble Mention Award 受賞 | |
ニューヨーク近代美術館(MoMA)にてオリジナルバッグの販売 が始まる | |
1999 | デザインフォーラム-コンペ 金賞(銀座松屋) |
アムステルダム市立近代美術館にてバッグの販売が始まる | |
2000 | グッドデザイン賞 |