第22回吉岡徳仁(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
10月18日から3日間、関係者に公開された吉岡徳仁さんの代官山の新事務所兼自宅を拝見し感動した。島根の旧家に使われていた播や柱を使用した現代の住処は、同時に発表したアクリル製のファイバー使用の照明とともに暫し忘れていた記憶を覚まさせる、心地よい時を提供してくれた。ふっと98年秋、パリのカルティエファンデーションで行なわれた展覧会「ISSEY MIYAKE MAKING THINGS」展の会場でも同様の感覚を受けたことを思い出した。このデザイナーの無限の可能性、創造性は貴重である。一つの方向が潮流になると、同様のデザインが横行する現状に染まることなく、心憎いばかりに新しい方向を示すこの若きデザイナーを支援(支持)しないわけにはいかない。この仕事をしていて一番楽しいことは、こんな出会いであり、刺激を受ける瞬間である。

吉岡徳仁 / Tokujin Yoshioka
吉岡徳仁デザイン事務所
E-mail : TOKUJIN3@aol.com
[吉岡徳仁 略歴]
- 1967年生まれ
- 1986年専門学校桑沢デザイン研究所を卒業後、倉俣史朗、三宅一生のもとでデザインを学ぶ
- 1992年よりフリーランスとして活動後、2000年吉岡徳仁デザイン事務所設立
代表作として「A-POC AOYAMA」や「ISSEY MIYAKE」のショップデザイン、「NTT-X」
パリ、ニューヨーク、東京で開催された「三宅一生展 ISSEY MIYAKE MAKING THINGS」展の空間デザインなど、実験的デザインが海外でも高い評価を得ている
1994年、1996年CS DESIGN AWARD金賞、1997年JCD DESIGN AWARD大賞ほか数多くの賞を受賞