安積朋子 | 注目のデザイナー | デザイン情報サイト[JDN]

第20回安積朋子（デザイナー）

［桐山登士樹の推薦文］

この半年間で5回ロンドンに立ち寄った私は、ミレニアムドームや観覧車、テートモダンとテムズ川に建設されたウォークブリッジ（ノーマン・フォスターデザイン）などを見学し、21世紀に向けたインフラが着々と進行するロンドンに血が騒わいでいる。
このロンドンで着実にデザイン活動を実践しているグループがAZUMI（安積伸・朋子夫妻）である。2度スタジオに立ち寄らせていただいて確認したことは、デザインの最終アウトプット前のモデル検討の質量と、そのデザインを解説するコンセプトデザインブックの丹念さに驚いた。あたりまえのこととはいえ、こんなに丁寧にデザインをしているスタジオを最近拝見していなかったので正直関心した。5月上旬に渡航した際には、クラフツカウンシルで開催された「Misty Lounge」の展示を案内していただいた。この展覧会で、AZUMIは真っ白い箱に光の陰影を施した繊細でいて、清潔感があるミクロマクロの宇宙を表現した。その一つ一つの処理は、これまでのデザインの延長上にありAZUMIの確かさを感じされるには充分であった。できればこの展覧会、近日日本で再現したいと本気で考えている。

LEM

Snow Man Salt & Pepper Shaker

ST.300, ST.301

Wire Frame Reversible Bench

Overture(Screen=Cabinet)

Table = Chest

H-1 (右)　H-2 (左)

Misty Lounge

AZUMI

安積伸 / Shin Azumi（1965年神戸生まれ）

'89年京都市立芸術大学プロダクトデザイン科卒業
(株)NECデザイン勤務を経て、
'94年RCAインダストリアルデザイン科大学院修了

安積朋子 / Tomoko Azumi（1966年広島生まれ）

'89年京都市立芸術大学環境デザイン科
建築設計事務所勤務を経て、
'95年RCA家具デザイン科大学院修了

E-mail : mail@azumi.co.uk
URL : http://www.azumi.co.uk

［AZUMI 略歴］

1995年よりロンドンにてデザインユニット「AZUMI」として活動。
1999年作品集「idea = book」が Black Dog Publishing (英) から出版される。

［パーマネントコレクション］

Victoria & Albert Museum (英)「Table = Chest」
Geoffrye Museum (英)「Table = Chest」
Stedelijk Museum (蘭)「Wire Frame Chair & Stool」
Crafts Council (英)「Table = Chest」「Wire Frame Reversible Bench」

［受賞歴］

1996年	NESS Design Award (UK) /Antler Chair
1996年	100% Blueprint Design Award, Finalist (UK) / Dimming with Movement Light
1998年	100% Blueprint Design Award, Finalist (UK) / Wire Frame Chair & Stool
1999年	Furniture Futures Award (UK) / Wire Frame Chair & Stool
	Peugeot Design Awards / Ceramic (UK) / Snow Man Salt & Pepper Shaker
	Good Design Award (Japan) / H-1, H-2 Speaker
	100% Blueprint Design Award, Finalist (UK) / Wire Frame Reversible Bench
2000年	Product of the Year, FX International Design Award

［主な展覧会］

1997年	Flexible Furniture 展 (Crafts Council, London)
1998年	Powerhouse:UK 展 (Horse Guards Parade, London)
1999年	Contemporary Decorative Arts 展 (Sotherby's, London)
	Stealing Beauty 展 (ICA, London)
	AZUMI 個展 / Glasgow 1999 (Lighthouse, Glasgow)
2000年	Misty Lounge / tectonic 展 (Crafts Council, London)

ABOUT 注目のデザイナーについて

デザインディレクター桐山登士樹が、旬のデザイナーをセレクトする「桐山登士樹が選ぶ注目のデザイナー」。近年の作品や代表作品などをご紹介。

桐山登士樹

株式会社TRUNK代表
デザインディレクター

デザインプロデュース会社・株式会社TRUNK代表取締役、富山県総合デザインセンターデザインディレクター、富山県近代美術館副館長

●桐山登士樹 Twitter　@kiriyama_trunk
●TRUNK LTD.　http://www.trunk-design.jp/

これまでに紹介した注目のデザイナー

LEM

ガススプリングによる高さ調節機能付ハイスツール。座面とフットレストがひとつのループ構造で結びつけられ、高い座面に上りやすく、座ったときに心地よいという理想的な位置関係を常に保つことが出来る。

素材：スチールパイプ・サテンクローム仕上げ
成形合板
サイズ：H 650/750 mm D 420 mm W 350 mm
価格：￡210
メーカー名：lapalma (伊)

Snow Man Salt & Pepper Shaker

雪だるまのような塩、胡椒入れ。
1999年 Peugot Design Award (英)

素材：セラミック
サイズ：58 mm H 67 mm
価格：￡15
メーカー名：AUTHENTICS (独)

ST.300, ST.301

(Coat Hanger + Clock + Shelf)

表面に時計、裏にコートハンガー、上に小さな棚をもつ。玄関エリアで必要な三つの機能をシンプルな造形でひとつにまとめた家具。
1998年 100% Blueprint Design Award (英) Finalisted

素材：メープル（化粧合板）、ガラス、スチールパイプ・サテンクローム仕上げ
サイズ：H 220 mm D 70 mm D 220 mm
メーカー名：lapalma (伊)

Wire Frame Reversible Bench

スーパーマーケットで使われるバスケットの素材、工法を転用した家具。上下を逆にすることでベンチから椅子へと変化する。
1999年 100% Blueprint Design Award (英) Finalisted
2000年 Crafts Council (英) パーマネントコレクション

素材：スチール、焼き付け塗装
サイズ：H 220 mm D 70 mm D 220 mm
価格：￡770
メーカー名：AZUMI'S (英)

Overture(Screen=Cabinet)

パーテーション付き棚。ヒンジでつながれ、コットン布の張られた二つのウイングを広げると、間仕切りとして使用でき、閉じると筒状になる。

素材：メープル（化粧合板）、綿布、スチール・サテンクローム仕上げ
maple, powder coated steel, cotton
サイズ：W 520 mm D 520 mm H 1850 mm
メーカー名：lapalma (伊)

Table = Chest

広げるとコーヒーテーブル、閉じると小引き出しとして機能する家具。
1997年 Victoria & Albert Museum (英) パーマネントコレクション

素材：メープル（無垢材・化粧合板）
サイズ：W 400～870 mm D 400 mm H 720 mm
価格：￥100,000
メーカー名：abode (日)

H-1 (右)　H-2 (左)

指向性スピーカー

無骨な箱型を廃し、インテリアとの親和性を重視した指向性スピーカー。方向指示に不可欠な金属のとめ具を本体内側に隠蔽し、音の方向を変えても表情が変わらず、ニュートラルな外観を保つ。脱着式カバーで、表面色を簡単に変えることが出来、施工も容易。
1999年 Good Design Award（日）

素材：プラスチック
サイズ：H-1 / W 312 mm H 126 mm D 90 mm H-2 / 268 mm H 111 mm
価格：H-1 ￥16,000　H-2 ￥18,000
メーカー名：TOA (日)

Misty Lounge

（インスタレーション）

この1500本のゴムヒモとワイヤーフレーム・ファニチャーで仕立てた白い部屋は、空間とモノとの境界を曖昧にする事を目的とする。重層的に交差する線材の織りなす光と影。二種類の照明を切り替えることで起こる遮蔽感と解放感。また、視点の移動とともに起こるモアレ効果が不思議な距離感を与え、見る人の焦点を狂わせる。