第144回山本達雄(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
ミラノサローネ、サテリテ会場に山本達雄氏はひとりで出展していた。「Resonance」と名付けられた1600本の支柱からなる作品は、人が触れ、物に触れ、ゆらゆらと共鳴する不思議なオブジェ作品であった。二年連続して完成度の高いデザイン「bambi chairs」「Mozzarella chair」を発表してきたスタイルとは、全く違うアプローチに山本氏の思いを探った。すでにキャリアは、サテリテで声の掛かるのを待つような新人ではない。スタハチ時代を通じて、絶えず最先端のデザインに接し、ボリュームのあるデザインも数多く手がけて来た。日常のデザインではなく、自らの想いを被せたデザインが「Resonance」だと見た。思い返せば山本氏の兄貴分のトネリコも、考え抜いた三年間のサテリテ出展であった。事務所設立から五年、新たなフェーズへのステップアップは重なり揺れ不思議な力や空気を醸し出す領域だとすれば、時代の転換期とも重なり、この「共鳴」と名付けられた作品を理解することが出来る。

山本達雄 / Tatsuo Yamamoto
1969年 | 山口生まれ |
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1993年 | 武蔵野美術短期大学部専攻科卒業 |
1995-2004年 | STUDIO80 在籍 内田繁氏に師事 |
2005年 | Tatsuo Yamamoto Design Inc.設立 |
2005年 Tatsuo Yamamoto Design Inc.設立し、商業空間のデザインを中心に、住宅建築、プロダクト、地場産業の開発などデザイン活動を行なっている。