第136回中村竜治(建築家)
[桐山登士樹の推薦文]
東京国立近代美術館で8月8日まで開催された「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」は、なかなかおもしろい切り口の展覧会だった。
その中でも、入り口に置かれた中村竜治さんの作品「とうもろこし畑」は、繊細さと大胆さが同居した迫力ある作品だった。後日、美術館のサイトで発想から製作までのメイキングを見ると、高度な作業をアナログ手法で丹念に忍耐強く反復している姿に感服する。
存在を示す事で都市の象徴性を表す建築の歴史から、現代は存在すら無にする建築が顕在化している。こうした節目を担う一人が中村竜治氏だ。抑圧を促すデザインを美しく、繊細に、時に無機質に表現する才覚に卓越している。今後は1/1の建築作品の中で、全身で空気を体感してみたい。

中村竜治 / Ryuji Nakamura
1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、青木淳建築計画事務所を経て、2004年中村竜治建築設計事務所設立。東京理科大学、法政大学非常勤講師。主な受賞に、くまもとアートポリス熊本駅西口駅前広場設計競技優秀賞、THE GREAT INDOORS AWARD(オランダ)、グッドデザイン賞、JCDデザインアワード大賞など。
http://www.ryujinakamura.com