第134回トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)
[桐山登士樹の推薦文]
川崎市民ミュージアムで開催されていた、横山裕一ネオ漫画の全記録「私は時間を描いている」の展示最終日に駆け込んだ。円弧に構成した展示台と人工芝、壁面の極めてシンプルな要素で構成された空間であったが、作家の個性と作品を表すには極めて有効な展示デザインであった。鈴野浩一と禿真哉が主宰するトラフ建築設計事務所は、昨年の「骨展」の会場構成、「三保谷硝子店-101年目の試作展」での「オレチェア」(ハイチェア)のデザイン提供、コンセプチャルで評価を高めた「NIKE 1 LOVE」のインテリアデザイン、そして近作「空気の器」の軽やかで開放的なデザインなどを手がけている。全てに共通する空気感、デザインは時代に心地よい。時代の気分をデザインする建築家である。カタチとカタチ、カタチとヒト、カタチとコトを変幻自在に操るサスティナブルなクリエーターだと言える。60年代NYのポップカルチャー、アートの時代を彷彿させる。飛躍的に活動の範囲を広げていく建築ユニットとして、注目したい。

トラフ建築設計事務所 / TORAFU ARCHITECTS Inc.
鈴野浩一、禿真哉 / Koichi Suzuno, Shinya Kamuro
〒142-0062
東京都品川区小山1-9-2-2F
T : 03-5498-7156
F : 03-5498-6156
E : torafu@torafu.com
U : http://www.torafu.com
鈴野浩一(すずの こういち)と禿真哉(かむろ しんや)により2004年に設立。
建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトのデザイン、空間インスタレーションやムービー製作への参加など、デザインする対象は幅広く取り組んでいる。
主な建築作品に「テンプレート イン クラスカ」「テーブル オン ザ ルーフ」「回転体」「UDS上海オフィス」「NIKE 1LOVE」「ブーリアン 東大医学部教育研究棟 鉄門カフェ」「港北の住宅」など。
2005アジアデザインアワード アジアデザイン大賞 (テンプレート イン クラスカ)、JCDデザインアワード2007金賞(ブーリアン)、銀賞(NIKE 1LOVE)、商空間アワード2007 グランプリ(ブーリアン)、ベストデビュタント賞 2008、2009年度グッドデザイン賞など受賞歴も多数。
鈴野浩一(すずの こういち)/Koichi Suzuno
1973年 | 神奈川県生まれ |
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1996年 | 東京理科大学工学部建築学科卒業 |
1998年 | 横浜国立大学大学院工学部建築学専攻修士課程修了 |
1998-2001年 | シーラカンス K&H 勤務 |
2001-02年 | NMBW Architecture Studio(メルボルン)協働 |
2002-03年 | Kerstin Thompson Architects(メルボルン)勤務 |
2004年2月- | 株式会社トラフ建築設計事務所共同主宰 |
2005-08年 | 東京理科大学非常勤講師 |
2008年- | 昭和女子大学非常勤講師 |
2010年- | 共立女子大学非常勤講師 |
2010年- | 武蔵野美術大学非常勤講師 |
禿真哉(かむろ しんや)/Shinya Kamuro
1974年 | 島根県生まれ |
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1997年 | 明治大学理工学部建築学科卒業 |
1999年 | 同大学大学院修士課程修了 |
2000-03年 | 青木淳建築計画事務所勤務 |
2004年2月- | 株式会社トラフ建築設計事務所共同主宰 |
2008年- | 昭和女子大学非常勤講師 |