第133回和田 智(カー&プロダクトデザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
私は大のクルマ好きだから、毎年デトロイトから始まるモーターショーの情報や出張の折、各社のショールームで実車を確認するのが趣味となっている。そんな世界のカーデザインを牽引している一人が和田智さんだ。和田さんが手がけたAUDI A6がアウディのブランドエクイティを著しく向上させた事は良く知られている。A6のデザインが人気を呼び、その後の手がけたQ7、A5でアウディはデザイン&クオリティナンバーワンの会社となった。アウディはミラノの街によく似合うクルマで、存在感を発揮している。それだけ好調にビジネスが展開できている証でもある。和田氏本人は穏やかで真摯に対応する姿勢が気持ちよい。また、グローバル&ローカルの二軸を理解している人だ。ダイナミックとデリケートといった対極の概念をものの見事にデザインする。昨年7月に日本に戻ってきたが、今後はカーデザインのみではなく日本のデザインを高める為にも様々な企業や地方と戦略的にビジネス展開して欲しい。

和田 智 / Satoshi Wada
カー&プロダクトデザイナー、SWdesign TOKYO代表、Audi Design Partner。1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒。84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして、初代セフィーロ(88年)、初代プレセア(89年)、セフィーロワゴン(96年)などの量販車を担当した。89~91年、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート留学。日産勤務時代最後の作品として電気自動車のハイパーミニをデザインした。98年、アウディAG/アウディ・デザインへ移籍。シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャーとして、現行のA6、Q7などの主力車種を担当した。アウディのシンボルとも言えるシングルフレームグリルをデザインし、その後「世界でもっとも美しいクーペ」と評されるA5を担当した。そのほかAudi Pikes Peak Quattro、Audi Avantissimoなどのショーカーも担当した。また現在話題のアウディベイビーA1も担当している。2009年6月アウディから独立。自身のデザインスタジオ「SWdesign TOKYO」を設立した。独立後は新しいビークルデザイン開発に力を注ぐ一方、カーデザインにとらわれず、ドイツでの長きにわたるデザイン活動を生かし「新しい時代のミニマルなものや暮らし」をデザイン提案していく。現在Audi Design Partnerでもある。
SWdesign TOKYO | Website http://www.swdesign-office.com/
SWdesign TOKYO | Twitter http://twitter.com/SWdesignTOKYO