いろとりどりのかけら　2008
Fragments of Color Cube

端正な白いキューブが林立する美術館を、日没から夜の9時まで、高橋匡太の光のアートがまったく異なる風景に変貌させます。各壁面に直接照射された色とりどりの光は、時間とともに変化し、この世のものとは思えない幻想的で美しい世界をつくり出します。この作品を構想するにあたって、高橋は建築の立体的なボリュームではなく、構成する面に注目しました。いわば3Dの建築を分解して、2Dで再構築しているのです。重量感を感じさせない光の平面が時間とともに立ち現れる様は、光の建築とも言える新たな表現となっています。照明が移り変わる際の制御に、水面のゆらぎのパターンを応用し、呼吸をするような有機的な感触を生み出しました。十和田の新たな夜景となったこの作品は、四季折々、あるいはイベントごとに色の変化が楽しめます。
（美術館カタログより）

• 制作年：2008年4月～（常設作品）
• 場所：十和田市現代美術館、青森
• 素材：照明器具
• photo：北村光隆 / Kitamura Mitsutaka

夢のたねプロジェクト　2004
dream seed project

ライフワークとして、2005年より各地で取り組んでいるプロジェクト。過去福井県あわら市からメルボルン、金沢を経てすでに10万人以上が参加してきた大プロジェクトである。

《夢のたねプロジェクト》とは、たね型に切り抜いた半透明の紙にワークショップに参加した一人ひとりが自分の夢を書き、小型のLEDライトを挟み込みます。これを預かり気球で空から夜に降らせて、最後に舞い落ちて来た誰かの夢を一つずつ持ち帰るというものです。《夢のたねプロジェクト》は、誰かの夢を他の誰かに届けようという多くのサポーター達の手で進めて行きます。

夜空に舞うひとつひとつの光は人々の未来への希望、輝くまなざしであり、人と人を結ぶ出会いのたねなのです。

• 制作年：
• 2004年10月-2005年10月（福井）
• 2006年2-12月（メルボルン）
• 2008年9-12月（金沢）
• 場所：
• 「2008-金沢」金沢アートプラットホーム2008（金沢21世紀美術館）参加作品、金沢
• 「2006-メルボルン」日豪交流年記念事業、メルボルン市、オーストラリア
• 「2005-福井」国民文化祭2005参加事業、あわら市、福井
• 素材：
• 合成紙、LED、気球（※Melbourneはヘリウムバルーン）

湊町アンダーグラウンドプロジェクト　2003
MINATOMACHI Underground Project

再開発の進行する地上とJR線の通りすぎる地下二階に挟まれた用途の無い眠ったままの巨大地下空間をアートで覚醒するプロジェクト。1232本の蛍光灯を空間の突き当たりに敷き詰めた。蛍光灯の本数は地下空間全体がコンビニエンスストアと同じ光量になるように計算され決められた。蛍光灯は一定の間隔で消灯・点灯を繰り返す。光の明滅によって、我々の日常がいかに異常な明るさの下で営まれているかという事実を示唆した。プロジェクトは新聞やテレビでも取り上げられ、噂を聞きつけた観客が殺到し、最終日にはクローズを大幅に延長して深夜まで開場する事になった。

• 制作年：2003年9月
• 場所：JR難波付近地下空間、大阪
• サイズ：長さ190×幅9-30×高さ5m
• 素材：蛍光灯／他、電設資材

築城400年記念二条城ライトアップ　2003

築城400年を記念したライトアップイベント。城壁に巨大な錦鯉をモチーフとした映像作品を投影した。水鏡となったお堀への映り込みが空間の奥行きを深めている。美術の教科書＜高校美術1＞（光村図書出版）に、体で感じる映像の世界として掲載された。

• 制作年：2003年3月
• 場所：二条城、京都
• 素材：照明器具、ビデオプロジェクター、DVD Player、照明
• photo：市川靖史 / Ichigawa Yasushi

光の航跡　2009

1095平米ある広い空間はぐるりを壁面に囲まれその内部全体が青い光に満たされている。南側壁面全体には、メディアテークから見える風景が、幅40mの巨大なパノラマとして映しだされている。それは背景のように、昼から夜へとその映像を変化させている。空間内に吊るされた5枚の大きなスクリーンには、揺らめく布のような映像と共に、過去の記録らしい映像が、走馬灯のように映しだされている。

（中略）メディアテークでは、8ミリフィルムをデジタル変換して保存する活動を行っている。これは公的な記録映像だけでなく個人が所有するフィルムについても対象とし、知的公共財産としての映像アーカイブを構築しようというものである。

それらプライベートな映像の中に、時間や地域性を越えた普遍的な都市の物語が隠されているのではないかと考えた。高橋はメディアの棚である当館の特性に根ざした新作を作る上で、それらの私性を同じ空間に集合させ、一つのタイムライン上で展開する事で、過去から現在までまで続く仙台という都市の物語編纂装置を作り出そうとしたのである。個の物語の集積が都市であり、その眺望を可能にするのが「メディアテーク」であると。
（展覧会カタログより抜粋。文責／清水建人）

• 制作年：2009年11月
• 場所：仙台メディアテーク、仙台
• サイズ：25×44×h4.5m
• 素材：ビデオプロジェクター、DVD Player、LED照明、合成紙スクリーン、遮光幕、音響機材
• 制作：
• ［映像編集］松村康平
• ［音響］山中 透
• ［会場設計］川口怜子
• photo：松村康平 / Matsumura Kohei

roomer　2007

《roomer series》（2006-）は、光と影の精妙なシンクロとズレの奏でる“空間の詩”とでもいうべきシリーズだ。

影は、知覚世界の外部にあるものの存在を暗示するだけではない。それは、光源との関係の中で影の主の位置を示し、距離を示す、すぐれて空間的な現象なのである。

《Vanishing》が最初に発表されたのは、2006年メルボルンでの個展においてだが、その拡張ヴァージョンともいうべき《Roomers》（“Mosaic City”展、Daejeon Museum of Art、2007年）では、展示スペースの中ほどに吊された垂直のスクリーンと床面に、踊る人、駆け寄ってくる人、脚立にのぼる人などの黒いシルエットがペアーで投影される。ペアーのシルエットは、同一の映像がシンクロしていることもあれば、微妙にずれていることもある。重要なのは、かれ／彼女らが、光のフレームの内側に侵入してきては、フレームの外へとまた去っていくことだ。わたしたちがスクリーン上に見るのはかれ／彼女らの影に過ぎず、影の実体が駆け回っているのはじつはスクリーンの外部、わたしたちが居る現実の空間の方なのである。光が明滅し、暗転する空間には、胎内音のようでもあれば機械音のようでもあるサウンドが響きわたっている。わたしたちは、眼にみえる不在の世界と、眼にみえない存在の世界がめまぐるしく交錯する現場に立って、光と音のオーケストレーションを体感するのである。　（The 5th International Media Art Biennale ?Media City Seoul-展覧会カタログより／文責　松本透）

写真左

• 制作年：2007年7月
• 場所：Daejeon Museum of Arts、Daejeon、Korea
• サイズ：20×25×h5m
• 素材：ビデオプロジェクタ、DVD Player、アクリルスクリーン、白砂、音響機材
• 制作：
• ［影］Fukuoka Manami, Takechiyo Mariya, Ima Tenko, Maeda Hidekazu, Yum
• ［映像編集］Matsumura Kohei
• ［音響］Yamanaka Toru
• ［会場設計］Kawaguchi Reiko
• photo：川口怜子 / Reiko Kawaguchi

写真右

• 制作年：2009年2月
• 場所：MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w、Kyoto
• サイズ：9×11×h6m
• 素材：ビデオプロジェクター、DVD Player
• 制作：
• ［影］Fukuoka Manami, Maeda Hidekazu
• ［映像編集］Matsumura Kohei
• ［音響］Yamanaka Toru
• ［会場設計］Kawaguchi Reiko
• photo：市川靖史 / Ichikawa Yasushi

スイコマレルキモチ　1995
Optical Illusion of Being Swallowed

《スイコマレルキモチ》は巨大なプロジェクション装置である。
漏斗状の帆布に渦巻き模様が投影され、上部から覗き込む鑑賞者は、その回転によって巨大なタイムマシンに吸い込まれるかのような強烈な揺らぎの感覚を受ける。この作品は1995年のキリンコンテンポラリーアワード大賞受賞作品であり、その後の活動の出発点とも言うべき作品である。

• 制作年：1995年2月
• 場所：京都市立芸術大学大学会館ホール、京都
• サイズ：直径8×高さ6m
• 素材：テント生地、自作スライドプロジェクター
• photo：北村光隆 / Kitamura Mitsutaka

• 出展：
• 1995年　京都市立芸術大学大学会館ホール
• 1995年　キリンプラザ大阪
• 2006年　ArtFestival2006　堂島アバンザ前広場野外展示
• 2009年　アート＆テクノロジー展　京都工芸繊維大学美術工芸資料館

パフォーマンス公演「F.L.O」　2005

空間演出、映像演出を担当として音楽家やパフォーマとのコラボレーションワークも国内外で多数行っている。特徴的なのは、その映像に自ら考案した映像投影装置「ビジョンスクローラ」を用いて演者同様即興的に光の効果を加えて行く事である。

「ビジョンスクローラ」とは、キャンパスとなるアクリル天板の下にカムコーダーを設置した自作のライブ映像制作器。天板上に砂や羽などのマテリアルをのせると、カムコーダーがその像をとらえ、連結されたプロジェクターによりリアルタイムで投写される。天板の透明ロールフィルムの巻取によるマテリアルの横移動、また、ターンテーブルにカムコーダーを設置することで映像を自在に回転・移動ができる。

• 制作年：2005年3月
• 場所：タマダギャラリー、東京
• サイズ：9×11×h6m
• 素材：ビデオプロジェクター、DVD Player、合成紙スクリーン、自作映像制作機、音響機材
• 制作：flo+out