第12回安次富 隆(プロダクトデザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
世界の若手デザイナーに交じって、安次富隆氏はミラノサローネの企画ブースで自作を発表した。
頻繁に訪れる外来者(マスコミ、バイヤー、デザイナー)の応対に安次富氏は、デザインする以上の労力を費やした。たぶん初めて味わう心労が波のように容赦なく安次富氏を襲ったことだろう。世界の若手デザイナーはチャンスの訪れを待ち、そのためにスキルを磨く。考えること、描くこと、制作することそのすべてがチャンスのためにある。そして一度のチャンスにエネルギーを集中し、アピールする事を忘れない。こうした努力の末、毎年数人のデザイナーが頭角を現す。
これまで安次富氏は順調なデザイン活動を展開していた。ソニーを退社後もデザインに力を入れている企業の仕事を数多く手がけている。その安次富氏が近年手がけているデザインが、竹やガラスといった職人さんとのコラボレーションによる作品である。力量がハイテクからローテクまで偏ることなく行使される活動を安次富氏には望みたい。日本の特殊なデザイン環境で日本人だけで群れる環境を早く打破しないと、21世紀のデザイン展望など見えてこない。そうした意味からも安次富氏には、大きく羽ばたいて欲しい。

安次富 隆 / Ashitomi Takashi
[略歴]
- 1959年 沖縄県生まれ
- 1985年 多摩美術大学プロダクトデザイン学科卒業
- 1985年 ソニー(株)デザインセンター入社。テレビ/オーディオ/ビデオのデザイン
- 1991年 (有)ザートデザイン設立
- 1993年~多摩美術大学プロダクトデザイン学科非常勤講師
- 1995年~アクシス誌連載記事「逸品調査団」(現在「イッピン発掘記」)
現在、情報機器やオーディオなどの工業製品を中心にデザインを手掛けている。
[受賞歴]
- 1993年 U・M・Eクロス21 指名デザインコンペティション入選
- 1993年 沖縄県『平和の礎』デザインコンペティション優秀賞
- 1995年 メッセピア・デザインコンペティション'94 指名コンペティション入選
- 1996年 Gマーク インターフェイス賞
[講演/セミナー]
- 1993年 沖縄県工業連合会「売れるおきなわデザインフェア93」
- 1993年 (株)デンプロデザインセミナー
- 1995年 (株)サンテックデザインセミナー
- 1995年 tennen design '95 kyoto ワークショップ
[展覧会]
- 1997年 スーパーフック展|リビングデザインセンターOZONE
- 1998年 スーパースイッチ展|リビングデザインセンターOZONE
- 1998年 デザインウェーブイン富山|富山市市役所/リビングデザインセンターOZONE
- 1999年 スツール展|リビングデザインセンターOZONE
- 1999年 ミラノ・サローネ
- 1999年 スーパースピーカー展|リビングデザインセンターOZONE