第121回坪井浩尚(プロダクトデザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
最近、気になっていたデザイナーの坪井さんとミラノサローネで名刺を交換した。若いのにおおらかなフォルム、ちらばるユーモア、醸し出す存在感が強く印象に残る。早速とある会にお呼びして、これまでの生い立ちを伺った。
美大を卒業後、実家との約束で鶴見にある諸嶽山總持寺で半年修行僧をした事。その時の鮮烈な体験が今日のベースになっている事などをを伺った。「仏教ではモノと環境を対峙して捉えるのではなく、モノは環境の中にあるものとして捉えるのです。」と、関係性について話され、SAKURASAKU glass等の坪井デザインの意味を確認することができた。私なりの解釈は、カタチに託しているのは時間をデザインすることであり、その後の行為に意味を見いだそうとするデザインであることと理解した。久しぶりに自らのバックボーンを熱心に話すデザイナーとお会いでき有意義だった。

坪井浩尚 / Hironao Tsuboi
[経歴]
1980年東京生まれ、静岡県育ち。04年多摩美術大学環境デザイン科卒業。
06年Hironao Tsuboi Design 設立。現在デザインブランド100%Inc.・middleの
Director / Designerを務める。家電製品や家具・日用生活品のデザインを中心に
国内外で活動中。
受賞にはred dot Award (独), D&AD global awards (英), Good DesignAward等。
08年度の I.D.Magazine(米)『 world emerging designers 40』に選出。
09年D&AD (英)『Creative Faces』Japan's most exciting new design talent に選出。