第110回グエナエル・ニコラ(デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
今年のサローネで一番魅了されたのは、グエナエル・ニコラとトネリコがコラボした「TOKYO WONDER」でした。光のボールが浮遊する「LIGHT-LIGHT」は、東京を的確に表現する手法として完成度が高く、気持ちよいショックが体内を走りました。例えるなら素材をいち早く見抜き、オリジナルレシピを創作し、料理を提供する一流のシェフの様に、ニコラは完璧なプロの技で他を圧倒しました。15年以上日本を拠点に活動し、客観的な観察眼と考察により新たな独自の世界観を作り上げているニコラは、日本人以上に日本人らしさに精通しているクリエーターだと言えよう。今回の展覧会を見て、日本でしか出来ないアプローチや可能なデザインのヒントをいただいた。また紹介する他のデザインは、すべてクリーンでクールにクリエーションされ、私には日本家屋や伊勢神宮のイメージと交差する。何か新しい事をご一緒したくなった。

グエナエル・ニコラ / Gwenael Nicolas
1966年 | フランス生まれ |
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1988年 | E.S.A.G(パリ)インテリアデザイン科卒業 |
1991年 | ロイヤルカレッジオブアート(ロンドン)プロダクトデザイン科卒業。来日。 |
1998年 | イッセイミヤケ、ウォーターデザイン等とのコラボレーションを経て、キュリオシティ設立 |
インテリアを始め、プロダクトデザイン、パッケージデザイン等シームレスに活動。2005年に、オフィス兼住宅で建築活動も開始。
ミラノサローネ2008にて、アガペよりバスプロダクトライン「SEN」を発表。また自主展示として、トネリコと共同で行った「TOKYO WONDER」がミラノで大変話題となった。