第103回太田 登(建築・デザイナー)
[桐山登士樹の推薦文]
18年前、ニューヨークのチャイナタウンで世界を放浪する太田青年と知人を介して初めて出会った。建築が好きで、とくにアバンギャルドな建築が好きで、分析・解析するのが好きだった。その太田青年も40歳を過ぎ、大好きなニューヨークを舞台に日々建築デザインを追い求めている。確か、本日からソーホーのギャラリーで個展「アーティフィシャル・ランドスケープ」が開催されているはずである。これまで多くの建築デザインを見せてもらったが、やはりコロンビアで師事したハニー・ラシッドが主宰するアシンプトートで担当したプロジェクトが現在のベースとなっている。直接担当したノール社のための新たなオフィスシステム「A3」は、過去の形態にまったく捉われないイノベーティブなデザインだったと記憶する。これまで日本のメディアに登場することなく来たが、今後は新たなデザイン領域に取り組んでいるケースとして、日本での発表の機会があるといい。なぜならば、今回紹介するコンペティション応募作品からもその意欲が充分感じられるからである。

太田 登 / Noboru Ota
米国コロンビア大学 建築・都市・歴史保存大学院にてMaster of Science in Advanced Architectural Designを取得後、1999年から2005年までアシンプトートにて、シニアデザイナーとして勤務。建築デザインをはじめ、プロダクト・デザイン、デジタル・プロジェクト、アート・インスタレーションまで、幅広い領域のプロジェクトに関る。
現在、ニューヨークにてフリーランスの建築・デザイナーとして活動。
アシンプトートでの主なデザイン担当プロジェクトとして、アレッシ・デスクトップ・アーキテクチャー、ステーショナリーデザイン(2005)、第9回ヴェニス建築ビエンナーレ「メタモルフ」会場構成(2004)、「カルロス・ミエリ」フラッグシップショップ(2003)、ノール社のためのオフィスシステム家具「A3」(1999-2002)、「グッゲンハイム・ヴァーチャル・ミュージアム」(1999)が、また、アシンプトートでの主な展覧会(主に3次元デザイナー、デジタルアニメーション製作者として参加)として、ノンスタンダードアーキテクチャー展、ポンピドーセンター(2003)、フラックススペース 3.0 / モーションスケープス、ドクメンタ11(2002)、フラックスペース 2.0、第7回ヴェニス建築ビエンナーレ(2000)などが挙げられる。