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デザインのチカラ

デジタルスケープ

0.5歩先を狙う“My favorite”

堀田氏と笹原氏
堀田峰布子氏(左)と笹原優子氏(右)

 堀田氏 「2010年は、“ライフスタイル&ファッション” “カラー&フォルム”という切り口で、“My favorite(マイフェイバリット)”がキーワード。幅広いお客様それぞれにお気に入りを見つけてもらいたいという考え方で「エミリオ・プッチ」「ケイトスペード」「マリメッコ」「フラン・フラン」「スタジオ・コンラン」といったブランドやデザイナーとコラボレーションしました。様々なテイスト、特徴的なデザインをもっている方たちとご一緒して、『Good Design』の選択肢を広げられる展開を考えていきました」

── 新機種全体で見ると機能面では、フルHD動画対応とスマートフォンに注目が集まるが、今期は特にデザインでも多様な選択肢を用意する方向性を打ち出してきた。コラボレーションモデルはターゲットとして女性を意識したテイストが中心になる。

 堀田氏 「これまでのドコモの傾向として、30〜40歳代の方には安心して選んでもらえていましたが、若い世代には若干、満足度が低いという調査結果が出ていました。そこで女性を多角的にアプローチするという商品群に注力し、まず2010年春商戦に、雑誌『Seventeen』誌との「ピンクピンクピンク」(docomo STYLE series SH-05B)や、板チョコが目を引く「Q-pot.」とのコラボ(docomo STYLEシリーズ SH-04B)といった2機種を発表しました。幅広い層へのアプローチと、ターゲットを絞ったアプローチという2方向です。

(左)「Q-pot.」コラボ docomo STYLE series SH-04B、(右)docomo STYLE series SH-02B marimekko
(左)「Q-pot.」コラボ docomo STYLE series SH-04B、(右)docomo STYLE series SH-02B marimekko

 今回も、女性たちに「あ、好きだな」とか「いいよね」と感じてもらえるような、ライフスタイルのなかに自然にあるものや、お気に入りの1機種を探してもらいたいと考えました。「これがいい」と選びとってもらうために、時代性も反映した特徴的な方向性です。ラグジュアリーなエミリオ・プッチ、キャリアウーマン的なケイトスペード、カジュアルなフラン・フラン、ノスタルジックなキャラクターが確立しているマリメッコ、とフォーメーションとしては全方向に向けています」


コンランコラボ docomo STYLE series L-04B
docomo STYLE series L-04B

── “My favorite”というシーズンテーマに沿って発表された10種類の新機種のうち、ドコモでは久しぶりの登場となるのがストレートタイプだ。日本では「conran shop」で知られている、サー・テレンス・コンラン卿率いるスタジオ・コンランとコラボレーションした「docomo STYLE series L-04B」(LG Electorinics Japan)は、いままでやり尽くされた感のあるストレート形状に進化形を求めた。特に、176度の角度が耳と口にフィットするフォルムのデザインが斬新だ。

堀田峰布子氏
堀田峰布子氏

 堀田氏 「ヨーロッパに拠点を置くデザイン事務所ということもあり、ストレート形状は強いレコメンドのひとつでした。我々にとっても、他の候補から選ぶ際にもこれだ、と強さを感じました。お客様にとって良い選択肢、ハッピーになれる選択肢としてもストレートタイプは新鮮に感じられるのではないでしょうか。
 STYLE seriesとはいえターゲットを女性に限定せず、若い感性をもったユーザーで、インテリアやライフスタイルにこだわりをもち、デザイン感度が少し高い人たちを想定しています。自然な形状でありながら、細部まで意味のあるデザインで完成できたと思います。我々の考える『Good Design』とは、デザインの押しつけではなく、お客様の価値観や感性で選んでくださるもの。声高にデザインを主張せず、お客様からドコモのデザインが最近良くなったねと言っていただけるようなマネージメントを心がけています」

── 当然、デザイン面だけで魅了できるほど市場は甘くはないという認識もあった。デザイン、機能、価格のバランスがきちんととれていること、デザイン性とキーのうちやすさが両立していることなど、基本的なポイントを押さえた開発が進められた。

 堀田氏 「5500万人のお客様がいらっしゃるので、あまり先へ進んでしまうのではなく、0.5歩先を行こうという共通認識があります。機能だけでなく、デザインも同様です。マスを意識しているけれどちょっとがんばってます、ちょっと進んでます、というところ。どこかで見たことあるようだけどちょっと進んでいる、安心できるけどちょっと冒険している、という0.5歩先を意識しています」

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