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デザインのチカラ

デジタルスケープ

NECクリエイティブスタジオ
チーフクリエイティブディレクター
佐藤敏明氏

“伝えること”がひとつのミッション

佐藤敏明氏
NECクリエイティブスタジオ
チーフクリエイティブディレクター
佐藤敏明氏

── NECのクリエイティブスタジオは2006年に新設されたデザイン部門。チーフクリエイティブディレクターを務める佐藤敏明氏が、就任と同時に着手したのは、言葉通りの“オフィス作り”だった。

「2006年に社員アンケートをとったところ、デザインについて『誰に相談していいかわからない』『誰が何をしているのかわからない』などの意見がありました。それをポジティブに意識転換するためのデザインスタジオでもあります。
初期クリエイティブスタジオのメンバー5人の中にひとり、建築を勉強してきた人間がいたので、基本概念を立案、監修を行ってもらうことにしたんです」

── 完成したのは同年12月。フロアの柱を利用して空間を3つに区切り、プロダクトデザイン、プロモーション&コンテンツ、ミーティングのエリアに分けた。机の前には低いパーティションがあるものの、卍型に配置することで、互いの視線はうまく避けつつコミュニケーションの取りやすさが実現できた。ガラス越しに他部署からも様子が見え、実質的な仕事の透明性がアピールできている。
ミーティングスペースはワークスペースのモノトーンから一転、派手な色の什器やデザイン家具などを揃え、心理的要因に配慮した。北向きの36階に位置するフロアは、直射日光が入らず、むしろ色の確認には適しているという。

「良い場所を作り、誰がどこで何をしているか明確にする状況を目指しました。
プランを考えて行動を起こし、チェックしつつ次のアクションに回す、というサイクルを迅速に行える効率の良さを考慮し、パーティションで区切られていてもすぐ関連のマネージメント担当者と会話ができるとか、顔が見えるとか、簡単なようですが実は仕事に影響する部分を重視しています。

一般的な大企業の上意下達とは異なり、マーケティングとプロモーション中心の僕らのチームはユーザーに近いところから発想し、それを実現するためのコンセプトやデザインはどうあるべきかを考えていきます。ある意味、規模は小さいけれど、デザインセンターと商品企画と広告宣伝部が一緒にいるみたいな感覚が近いでしょうね」

── デザインセクションのトップ、佐藤氏の下に管理マネージャー、プランニングデザインチームがあり、プロダクトデザインチームがコンセプトやコラボレーションのプロデュースなどを行う。他に、アプリケーションやGUIなどのグラフィックまで技術と一緒に開発するチームがあり、その内容をビジュアライズするデザインチームもある。メディア関連とテレビ、雑誌等の対応をするプロモーションチームも抱えるスタジオだ。

「NEC全体として、イノベーションというキーワードがあります。携帯電話も進化していくものですから、そのキーワードはふさわしいと思っています。しかしNECは携帯電話事業では20年以上の経験をもつパイオニアであって、それを支持してきたエンドユーザーには、親しみやすいというブランドイメージも定着している。クリエイティブスタジオは、革新性を主張しながら、従来のユーザーと共に自然に進化する提案をしていきたいですね。

デザインという言葉を今は誰もが当たり前のように使っていますが、僕は皆が信じる信号が“sign=記号”だと考えていて、そこに“de=否定”が付け加えられているのだと捉えています。つまり、デザインというのは一方通行のサインで、100人いたら全員が信じるのがsign=記号。そしてその流れを変えることがde=否定なんじゃないの、って。流れを変えて、より完全なものに近づけることがデザインだと思うんですよ」

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