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デザインのチカラ

社内へのアピールと共通認識の明確化

── クリエイティブスタジオは完成したものの、社内的にはいったいどんな役割を果たす部署なのか、コンセンサスを得るための理解が必要だった。デザインの力をより発揮するために、社内向けにプレゼンテーションを行った。

佐藤敏明氏

「僕らの場合はデザイナーだけを相手にするというよりも、企画や設計だけでもなく、会社の中のいろんな人たちにデザインの意義を語っていくべきだと考えました。そうなるとデザインを勉強したことがない人たちにわかる言葉で伝えなければならない。デザインはみんながもっと幸せになるために存在するもの。決して、「これかっこいいから」という理由でやるものではない。その中で、携帯電話のデザインをもういちど見直そう、と伝えるのが目的です。

携帯電話は誰がどんな風に使うのか、というところからはじめるためにまずコンセプトメーキングが必要ですが、デザイナーと共に多くの人の考え方を切磋琢磨して、共通の認識にもっていきましょう、と提案しました。その次段階にデザイナーがいろいろ形を考えますが、形状だけを模索するのではなくて、文化的側面、会社としての社会的役割なども考慮して進めていきます。コンセプトや商品に与える哲学をビジュアライズするのがデザイナーの仕事。営業とか企画の人たちが言葉や数字で表す部分を一緒にビジュアライズしていくことができます、一緒にデザインの力を使っていきましょう、と」

── デザイン分野とは遠い部署の社員を意識し、具体的なデザインプロセスも分かりやすく紹介。スケッチやモデル制作の手順を簡潔にスライドショーでも見せた。

「良い形にたどりついたとき、デザイナーの満足度は高くなりますが、自己満足で終わってはダメです。インハウスデザイナーというのは、最高のアイデアをどう形に落とし込めるかをエンジニアといっしょに考えていくべき立場の人間。その共通言語としてキレイな絵を描き、色の組み合わせだとか表面の処理など細かいグラフィックまで考えていきます。その後、図面におこし、その図面をもとにモックアップを製作し、商品としての価値等を審議してもらうために社内プレゼンテーションを行う…こういったプロセスがデザインにはあります、という流れの説明ですね」

── デザインと技術で解決できる問題に、共に取り組むためのクリエイティブスタジオなのだ。

「たとえば防水にふさわしい形でさらにホコリもつきにくい本体の成型方法だとか、金型をいくつも必要としない製造方法でコストを抑えるとか、必要最小限の大きさの液晶画面でコストをミニマムに仕上げるとか、マーケットをしっかりと見れば、サービスも材料もいろいろな意味で新しい芽が開くはずです。
そういうことを考えるのが、クリエイティブスタジオであり、さらに商品企画も営業もグループ会社も手をとりあって新しい提案をすることで、可能性が広がりますから」

── 近い将来を見据え、9種類のアドヴァンスドデザインをモックアップまで製作し、併せて展示してみせた。

「ターゲットが違えば同じようなソリューションでも商品の形やコストに違いが生まれるのは当然。端末を通してそれぞれの人が目的に応じてより楽しめるようにすることが、端末メーカーとしてのミッションだと考えています」

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