「TRINUS(トリナス)」メーカーとデザイナーとユーザーを“とりなして”新しいデザイン雑貨を作る未来型ものづくり

「TRINUS(トリナス)」
メーカーとデザイナーとユーザーを“とりなして”
新しいデザイン雑貨を作り出す未来型ものづくり

2014/12/03 UPDATE

What's TRINUS(トリナス)?

ものづくりを目的とする新しいタイプのデザイン公募が始まる。その名前は「TRINUS(トリナス)」。優れた技術を持つ日本の中小メーカーと、デザインを発表し収益化する機会を求めるデザイナー、商品を見る目の肥えた日本のユーザーという三者が、それぞれの得意を持ち寄って新しいデザイン雑貨を作っていこうというプラットフォームだ。

主催するのは株式会社TRINUS(代表取締役 :佐藤真矢)。経済産業省のITクラウド連携推進事業の補助も得て、2014年12月15日に正式オープン予定。すでに3件のデザイン募集の限定公開が始まっている(2014年12月3日現在)。

メーカーの技術力、デザイナーのクリエイティビティ、ユーザーの豊かな感性。これらを活用が充分ではない経営資源と見つめ直すことで、高い品質で、マーケットの心をくすぐるユニークな商品を作り、日本から世界へ向けて発信したい、という理念の元に立ち上がる「TRINUS」。これまでのデザインコンペとは以下の二点が大きく異なる。一つ目は、TRINUS自体が製品化を行い販売していく事業主体であること。二つ目は、量産し中小メーカーの新収益源となり、デザイナーがロイヤリティ収入を得る道を作ることを強く志向していることだ。

デザインを活用した新しいビジネススキームとして期待されるTRINUS。ここでは、その第一回目の募集内容を紹介しよう。

TRINUSが目指すもの、メーカーとデザイナーとユーザーと

3つの力で「未来のライフスタイル」を創る参加型プロジェクト
3つの力で「未来のライフスタイル」を創る参加型プロジェクト

ご存知の通り、日本の中小メーカーはイノベーションを起こす可能性を秘めた技術を持っている。ただし、日々の業務に忙しく、情報収集や人脈開発にあてる時間を確保することさえ困難な場合が多い。結果、新規事業や新商品開発などの必要は感じつつも、具体化が難しいという状況がある。

デザイナーの状況についての説明は、多くの読者にとって不要かもしれない。一つ言えるのは、既存業務に飽き足らず発表の手段を探している場合は、TRINUSが有力な選択肢となり得る、ということだろう。
たとえば、たいていのデザインコンペのチャンスは年に一度だが、TRINUSでは様々な募集が通年で開催されている。また、TRINUSに発表するとユーザーからのフィードバックが得られ、さらに、製品化されると賞金やロイヤリティも得られる。
試作を作り展示会に出展する方法との比較では、まず必要な資本と時間が大幅に少ないことがあげられる。製品化の際のハードルとなる、金型制作、製造責任、流通といった問題もプラットフォームであるTRINUSに委ねることができるので、本来のクリエイティブワークに集中できることもメリットと言えるだろう。

デザイナーにとっては、クラウドファンディング的な要素が加わったデザインコンペとも解釈できる。通常のデザインコンペとの大きな違いは、デザインが公開されること、一般ユーザーの声をふまえて実績あるディレクターやコラボレートするメーカーの意見を元にTRINUSが最終審査する、というプロセスだ。審査後も、そのデザインに最適なディレクターをアサインしビジネスの成功を、事業主体であるTRINUSとして追求していく。

ユーザー参加の製品開発は、インターネットの普及によりこれまでにも数多くの事例が生まれている。全世界的なクラウドファンディングの盛り上がりは、提案する作り手も評価する使い手も、共に成熟してきた証しなのかもしれない。製品を見るセンス、細やかな気づきにおいては世界一とも言われる日本人。リアリティあるメーカーの技術シーズにデザイナーのクリエイティビティが掛け合わさった提案に、様々な目利きによる批判やコメントが寄せられる。こうしたプロデュースに加わる面白さが原動力に加わることで、メーカーとデザイナーとユーザーという三者によるものづくりの仕組みTRINUSはさらに賑わっていくのだろう。

募集内容1『マグネシウム合金製のパイプ・棒を「変形」する技術』

募集内容1『マグネシウム合金製のパイプ・棒を「変形」する技術』

静岡県富士宮市の株式会社マクルウが有する「マグネシウム合金棒・パイプの加工技術」を活用した生活用品・雑貨のデザインを募集している。
「マグネシウムはその素材の特性から常温での塑性加工(材料に大きな力を加えて変形させることによって、目的とする形状に加工すること)は難しいと言われてきましたが、株式会社マクルウではその定説に挑戦し、マグネシウム合金製のパイプ・棒材を自由な寸法に変形させる技術を確立。また、このパイプ・棒材を曲げたり溶接することも可能」
締切は2015年1月18日。

募集内容2『廃棄古紙を原料にした低環境負荷のプラスチック代替材料』

募集内容2『廃棄古紙を原料にした低環境負荷のプラスチック代替材料』

東京都渋谷区の株式会社環境経営総合研究所が有する「環境と人に優しい紙素材MAPKAの良さ」を活用したプロダクトデザインを募集している。
「主原料はあくまで「紙」。従来、産業廃棄物として処理をしていた廃棄古紙をリサイクルしている点、乾式連続パウダー化技術によって石油原料を使わずに製造が可能な点、「紙製品」であるため可燃物として処理が可能な点、焼却時にダイオキシンなどの有害ガスを発生せず、汎用プラスチック原料と比べてCO2排出量を約28%削減することにも成功している点など、圧倒的な環境性能を誇る新素材」
締切は2015年1月18日。

募集内容3『ウェーブ状に張り合わせることで反りにくさを実現した無垢材』

募集内容3『ウェーブ状に張り合わせることで反りにくさを実現した無垢材』』

岐阜県中津川市の有限会社内木木工所が有する「反らない無垢材Urahoの良さ」を活用したプロダクトデザインを募集している。
「木曽ヒノキに代表される優れた木工材料に恵まれた岐阜県中津川市付知町。とある木工所から、国産の杉・桧の心地良さをそのままに、デメリットである板状の無垢の木の反りやすさを解決する特殊加工技術が生まれました」
締切は2015年1月31日。

TRINUSでは、これからも数多くのメーカーからの募集テーマが追加されていく予定であるという。最後にその裏付けを紹介しよう。

株式会社TRINUSを設立した佐藤氏は、中小企業支援を行うDistty株式会社からスピンアウトした人物。そのネットワークを活かし、既に50社以上のユニークな技術を持つメーカーをリストアップしている。バラエティに富みリアリティのある募集が継続的に期待できる。デザインを活用したものづくりプラットフォームの真打ちとなるか、TRINUSの今後に注目したい。

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http://trinus.jp/