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ミラノといえばドゥオモ、スカラ座…と、この街を象徴する一つに数えられるスカラ座。去る12月7日、そのスカラ座が約3年の改修工事を終え、新たなその姿を多くのオペラファンにお披露目した。レオナルド・ダ・ヴィンチ像のある広場に面しているその姿を眺めた事のある方も多いのでないだろうか。
12月7日はミラノの守護神聖アンブロージョの祝日、そしてスカラ座のこけら落しの日であった。この日の題目はスカラ座が誕生した1778年8月3日と同じアントニオ・サニエリの「見出されたヨーロッパ」であった。数日前からこのお披露目に際して正面テラスや館内に華やかなフラワーデコレーションが準備され、連日テレビのニュースでも話題の一つになっていた 【 写真 1〜2 】 。毎年のオペラ座のこけら落しが本格的なクリスマスシーズンの到来を告げるようなもので、市民にとってもなにかと気になるイベントである。まして約3年ぶりのスカラ座でのオープニングである。スカラ座は2002年1月19日に改修のため閉鎖され、代わりにミラノのやや郊外(ちなみに私の住んでいる所の近く)のアルチンボルディ劇場で開催されていた。オープン当日は、各界からの著名人で盛大に賑わったとの話で、気になるチケット代金も相当なものだったと聞く。本題のスカラ座の内部を覗いてみるのは今後のお楽しみにしておいて、今回は外から見える部分をご紹介。
新生スカラ座としてお目見えしたその姿は、以前のそれと比べあまり違和感を感じせない。余りに長い間覆いで見えなかったからその姿を忘れてしまいそうだったが、ピカピカのスカラ座ではなかったのである。一目見て「そう、こんな感じだった」と思わせるものだ。というのも、改修後のスカラ座は出来るだけその元々のイメージを損なわないよう設計の配慮がなされていたのである。ミラノのスカラ座は、世界のスカラ座なのである。
スカラ座広場に面する正面側から後方半分までの部分はモニュメント部分として、当初の形が尊重されている。一方その奥側半分はステージ、ステージサービス、オフィスとして機能面を充実した建物の構造化が図られた。いわゆる設備部分の近代化・安全面の充実がなされたのである。正面から見て以前と変わったイメージを持つ楕円形の部分は、後者のオフィス部分である。決して小さくないが、広場に面した正面部分より左後方に位置し、またその前のサービス部門のスペースが表の顔となっているためか、控えめにしかその存在が見えない。顔となるファサードの高さがある程度あるため、モダンなその形を少しだけ覗かせているといった感じを受ける。 【 写真 3〜4 】
このデザインはコンペで優勝した建築家マリオ・ボッタの作品が採用された。レンガを多用した建物や丸い窓部分の作品が特徴的なボッタであるが、どこか落ち着いた凛とした雰囲気をいつも彼の作品から感じる。一方、スカラ座内部の装飾デザインの改修を担ったのは、エリザベッタ・ファッブリ氏。女性の建築家である。伝統のあるスカラ座の修復のディレクターを務めたのが女性というのは、同性として嬉しく思う。
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