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ミラノ - Life is design -
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第17回 (2)
ミラノの中の小さな日本展





翌週行われたギャラリー展示のテーマは『日本』。着物、かんざし、漆器等の小物が、ギャラリーの中を日本の空間へと変貌させていた。ギャラリーの入り口には、もみじをテーマとしたコーナーが設けられ、赤く色付いたもみじ色の布をベースに、もみじをモチーフとした小物が並べられた。もみじ柄の汁椀、箸置き、二段重、便箋そして本物のもみじ。イタリアにも多くはないが、もみじの木が存在する。入り口の反対側には鶴の模様をあしらった子供の着物が。ふと此処がミラノであることを忘れてしまいそうである。

今回展示されていた漆器は、業務漆器の産地である福井県鯖江市の越前漆器。今年7月の福井県豪雨で壊滅的な被害を受けた河和田地区のものである。ミラノに事務所を構えていた鯖江市から委託されている漆器を、今回はメインに展示されたという。伝統的な美を作り出すその火が続いていくことの願いも今回兼ねているという。実際、漆器のその美しい仕上げに魅力を感じているイタリア人も多いと言う。

ほかのディスプレイに目をやってみると、渋い色の布を張ったアドレス帳があった。日本のものかと思えば、作っているのはフランス人デザイナーだという。手帳の生地になっている布は日本のものであるが、それを使っていろいろなものにデザインしているのはフランス人の彼だと言うのである。中を開くと、彼の自筆で書かれたアルファベットが並んでいる。その何とも言えぬ温かさが嬉しかった。

着物にしろ漆器にしろ、日本のスタイルそのものをイタリア人の生活の中に入れ込んでいくことは難しい。生活様式の違いは思いのほか違うのである。が、少し形を変えて、また用途を変えて、少しずつ新しい形を作り出していくのであれば、それはとても興味深いものへと変わる。着物をジャケットのようにアレンジしたり、日本の伝統的な柄の生地を使って新しいものを作っていったり…。ともすれば私達日本人が忘れがちになっている伝統的なものや普段の生活の中に潜んでいるものの中に、そのヒントが隠されていたりする。例えば、酒屋さんや八百屋さんで使っているような前掛けが、イタリア人にはとても新鮮に映るようだ。その中の特に描かれている屋号のデザインが素敵だと言う。彼らが興味を持つものから日本を顧みると、意外な発見をすることができるかもしれない。







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【 18 】 朱が鮮やかな着物の下に愛らしい小物が並ぶ。
【ギャラリー展示より】

【 19 】 Kawaiさんのバッグ。中から覗く生地とのコントラストが見事。
【ギャラリー展示より】

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【 20 】 かんざしなど日本の小物が並ぶ。
【ギャラリー展示より】



【 21 】 ギャラリー入り口ディスプレイされていたもみじ達。
【ギャラリー展示より】
【 22 】 漆器類と渋い色の半てん
【ギャラリー展示より】
【 23 】 ギャラリーの入り口展示より。
【ギャラリー展示より】
【 24 】 日本の布地を使用したアドレス帳。
【ギャラリー展示より】
【 25 】 ギャラリーの展示より。
【ギャラリー展示より】
【 26 】 ピンクや赤を基調とした小物を並べて愛らしいコーナーに。
【ギャラリー展示より】
【 27 】 お店のある通りの風景。
【 28 】 左からスリモノのフェルナンダさん、オーナーのキアラさん、アンナさ ん。



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