
|

|
長い冬がようやく終わりの気配を見せた頃、少し静まり返っていたミラノの街に急に芽吹いてくる春の草木のように、サローネは街に突然活気をもたらしてきた。今年はサローネの前にパスクワ(復活祭)の休みがあった為に、なおさら人気が無かった街から急に人があふれ出した、そんな気さえしたくらいだ。毎年サローネの時期になるとなぜだか雨が降ったりして天候がすぐれず、4月だというのに寒い日が続く。今年も例年にもれず花冷えのような寒さが戻ってきて、結局肌寒いサローネで終ってしまった。2004年のサローネは4月14日から19日までの6日間の開催であった。
サローネの初日14日は、天候に恵まれとてもいい天気であった。見本市会場は相当な混雑を見せるだろうと思い、せっかくの好天でもありFuori Salone〈フオーリ・サローネ、見本市会場以外での展示〉の方から回り始めた。まずは最近賑わいを見せているZona Tortona〈トルトナ地区〉より。会場に近づくにつれ、この地区の催しの案内を配っている人もいて、それぞれの会場の力が入っているのが伺える。いつもこの地のSuperstudio Piu'〈スーパーストゥディオ・ピュー〉で展示会を行なっているCappellini〈カッペリーニ〉が、今年は会場を他へ移した為、会場内はなんだかまったく違う場所のようであった。その一因は、まず来場客数である。しかしいつもの賑わいがないだけで、出店していたそれぞれのブース自体は見ごたえがあるものもあった。 【 写真 1 】
中央のメインのスペースには、フィンランドのartek〈アルテック〉が北欧のシンプルモダンを展開していた。アルテックはAlvar Aalto〈アルバ・アアルト〉の家具や照明を作っているメーカーである。デザインのシンプルさが、かえって素材の美しさを際出させて見せる。貼り生地に日本のモチーフをイメージしたようなものも見かけられた。 【 写真 2、写真 3 】
同じ会場内にあったMATERIALISE.MGXというベルギーの照明メーカーも興味をひかれる。今年は2年に一度のEURO CUCINA(エウロ・クチーナ)とキッチンの年であり、照明の年ではないのだが、このメーカーの照明は個性的だ。蓮の花の形をかたどったエポキシのオレンジの花弁から光を放つフロアースタンド、小さなメトロポリタンをかたどったフロアースタンドなど、ハイテク素材を使用した立体的なその形がおもしろい 【 写真 4、写真 5 】 。その隣では1859年からの歴代のThonet〈トーネット〉の椅子が年代ごとに展示されていた。
|

|

|
|