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ミラノ - Life is design -
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第6回
CHIBI-MART キビ・マート

 update 2003.06.25
レポート : 上田敦子 / インテリアコーディネーター 




今回は6月6日から9日にかけて開催された見本市CHIBI-MART〈キビ・マート〉をご紹介しよう。アクセサリー雑貨の見本市と言えばお分かりいただけるかと思う。アクセサリーといってもBULGARI〈ブルガリ〉やCartier〈カルティエ〉などの高級宝飾品ではなく、アクセサリー雑貨のお店に並ぶような商品が展示されている見本市である。

この見本市は年に2回開催されており、もう一回は2月に開催されている。商品が小物中心なこともあり、各ブースの規模はやはり小さい。15〜20平米くらいのブースがほとんどを占める。ブース自体も凝った作りのものは少なく、商品がブース内に雑然と並んでいるといったブースさえ見かける。主な販売先は一般小売業者であるようだ。

アクセサリーも様々なものがあるが、琥珀やサンゴなどを使用したもの、クリスタルをふんだんに使用したもの、シルバーを使用したものなどが展示されている。全体的なイメージは、ボリュームが大きいものが多く、イタリア人好みの大ぶりでゴージャスなものがほとんどを占める。ネックレスにしてもブレスレットにしても日本人が好むような華奢なデザインのものはほとんど見かけることがない。琥珀やサンゴは対象となる層は少し高い年齢層だが、イタリア人のおば様方はお洒落であるゆえ、欠かすこのとできないものである。教会のミサに行く時も、又スーパーのお買い物に行く時さえ何かしらのアクセサリーを身につけ自らを飾り立てているのである。そしてそのほとんどが私達の目から見ると“ゴージャス”というにふさわしいものである。ブースに並ぶアクセサリーを見て、日本との好みの違いに改めて気づかされる。

このCHIBI-MARTのいくつかのブースには時計を展示しているところがあった。その中からNEWMAN〈ニューマン〉とTime's Collection〈タイムズ・コレクション〉を少しご紹介しよう。この両社のメーカーのみならず最近ミラノの時計ショップのショーウィンドーには幅広のストラップのものが目立つ。最近の流行は、メンズモデルのような幅広ベルト、スクエア—の文字盤、大きめのラウンドのものや文字盤の周りにSwarovski〈スワロフスキー〉のクリスタルをちりばめたもののようである。ここに出展しているそれぞれはファッションアクセサリーの時計として出されているものである。今回出展していた他の時計のブースにもラインストーンのはめ込まれたものを見かけたし、このタイプの人気はしばらく続くものと思われる。

NEWMANは、日本でも雑誌の「Oggi」(ちなみにイタリア語で“今日”という意味)で取り上げられたりして、その名前、商品をご存知の方も多いだろう。創立からわずか5年で世界中にその名前が知れ渡るようになった。一方のTime's Collectionにしても創立は1996年で、双方ともまだ出来たばかりの会社である。NEWMANはデザイン、パーツ等もイタリア、一方Time's Collectionはデザイン、パーツは日本、組み立ては香港である。

スウォッチの人気は今でも健在だが、双方の魅力はスウォッチのデザイン性にエレガントさと豪華さを加えた、とでも言おうか。クリスタルの持つ女性的なエレガントさにプラスして、メンズライクなボリュームが今のファッションとぴったりと合ったのであろう。手元を華やかに演出するのには最適である。ターゲットとした女性のファッショントレンドを上手くつかんだデザインである。文字盤の色とベルトの色を揃えたり、同じフレームでも変えベルトなどで時計のイメージを別のものに変えてみたり、まるで洋服のコーディネートと同様に楽しむことができる。そのファッション性が上手く今のニーズに合ったようだ。

時計もメガネと同様すでにファッションの一部となっており、シーズンにあわせて、又その日のTPOにあわせて選ぶというのが当たり前のようになっている。憧れのHerme's〈エルメス〉やCartier〈カルティエ〉のブランド時計も持つが、その一方でもう少し手軽に買い換えることの出来る値段帯の物として、こういったファッションウォッチが求められる。

他のアクセサリー小物を見てみると、オレンジやショッキングピンクを基調とした小物展開をしているブースがあった。目にも鮮やかなオレンジのブレスレットやバングル。やはりサイズ的にはボリュームの大きいものである。これからのサマーシーズンに向けての商品であろう。ただ、アクセサリー小物はあまり興味を引くものがなかったというのが実感であった。

全体的な感想としても、アクセサリー雑貨は今ひとつといった感じを覚えた。ヘアーアクセサリー等は、フランスの方がデザイン的にもひとつ上を行っているという印象を覚える。バッグなどは皮革製品の見本市であるMipel〈ミペル〉があるために、そちらの方にメーカーも流れていっているようである。

イタリアは日本と違って“これが流行っているから”といっても、皆がそれに流されることはない。各々の個性を生かしてファッションも個性的だし、身に付けるアクセサリー小物も様々である。また単にブランド物であるということはあまり意味をなさない。自分に似合うものを選択する、自分らしいアレンジをする、こういうことのほうが大切と思われている。ミラノの街のショップも、自分のお気に入りのお店を見つけ、人とは違うものを探すことこそお洒落であるとされている。街の人々を観察するとそれが簡単に分かるろう。パンツ姿の人もいればスカート姿の人もいる。アクセサリーやヘアスタイルも様々、それぞれのファッションは個性的である。それゆえ、選択肢は幅が広いともいえる。高級ブランドで身を固めるもよし、自分なりの個性を生かしてお洒落を楽しむのもよし、チープな古着を着こなすのもまたよし、と、十人十色である。

この見本市は規模としては決して大きくはないが、その中からまた優れたデザインや個性的な商品を発掘していくのも楽しいものである。一般の消費者向けの見本市ではないが、日本からのバイヤーの方も、小さくても頑張っているメーカーを発掘して、日本へその情報を届けて欲しいと思う。





見本市会場のブースを上から見たもの。それぞれのブースは小さく分かれている。




アクセサリーブースの商品展示より。日本とは色使いやボリュームに違いがある。




Time's Collectionの時計展示より。ベルトが太めで文字盤がスクエアータイプのものを多く見かける。




NEWMANのコレクションより。ブレスレットタイプの革を使ったもの。




NEWMANのコレクションより。白の幅の広いベルトにスクエア—の文字盤。周りにはラインストーンがはめ込まれてある。




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