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プロフェッショナルなデザイナーの育成を目指す本学の教育は、デザインの現場を意識し極めて実践的でチャレンジすることを重要視しています。学士課程の視覚デザイン、製品デザイン、環境デザインの各専攻において、描出や形態、色彩など表現の基本を大切にする授業が共通で実施されており、基礎科目では専攻以外の技法にも触れ、感性の幅を広げるための選択可能なプログラムが用意されています。大学院・修士課程では合同プレゼンテーションの開催により、関連領域との関係を考察しながら、専門領域における研究テーマを探求します。また社会との関係を意識した提案ができるようインターンシップを奨励しています。
今年の卒業作品の傾向や特徴
金沢美術工芸大学の卒業・修了制作展は金沢21世紀美術館で開催されました。
分野の異なるそれぞれの専攻において、本質的なものから時代を反映するものまで広くテーマ設定が行われ、見る側の共感を得て、心をつかむアイデアが盛り込まれた特徴的な作品が多く見られます。また外観は細部に至るまで繊細に探求されていて、完成度の高い作品に仕上がりました。展示では空間を創造させるCGや照明効果を取り入れた工夫が成されています。ファッションデザインコースでは、提案するファッションアイテムのブランドイメージ構築と効果的に展示するためのディスプレイデザインにも複数専攻のコラボレーションによる取り組みが行われました。
○大学院ファッションデザインコース 大学院3名
第二期生である今年度の修了生は、それぞれに全く違った切り口から社会を見つめ、個性豊かなブランディング研究を行いました。「結」がテーマのファッションブランドや、彩り豊かなシューズブランドは素材選びに配慮し、物作りと製品との関係性を見極めながら独自の世界観を表現しています。医療、福祉施設のユニフォームブランドは実体験に基づいた考察に始まり現場リサーチを重ねた結果、完成までのプロセスも含め見応えのある作品となりました。
○環境デザイン 学部24名、大学院1名
建築を基礎とする空間デザイン教育で学んだ成果として、商業施設、公共施設、宿泊施設、住居、オフィスを題材に、作品が制作されました。地域全体のスケールから都市、建築単体、店舗インテリア、什器、商品ディスプレイまでの様々なスケールを扱い、どの作品も色、照明、仕上素材の吟味と空間演出手法を組み合わせながら、特色豊かな空間を創出しています。従来の模型に加え動画を含むCGもあり、見る人に空間を想像体験させることに成功しています。
○視覚デザイン 学部18名、大学院1名
アイデアトレーニングをはじめとするVD独自の教育を取り入れて5年、毎年成果を挙げ、今年は過去最高のレベルに結実しました。アイデアと表現にそれぞれの個性が光彩を放ち、映像作品を中心に、立体、グラフィック、マルチ作品など、多彩な作品はどれも工夫を凝らし見応えがあります。見る側の共感を十分計算に入れた作品が多かったことに著しい成長の跡があり、クラス全員の意識が高い目標をめざし、個々の持ち味を活かして全力を傾けてきた結果をご覧ください。
○製品デザイン 学部19名、大学院2名
卒業制作の魅力は、提案内容の充実とともにそれが反映した密度の濃いモデルを完成させることにあります。今年度はディテールからカラーリングまで納得のいく姿を追求したものがそろいました。それぞれのモデルはユーザーの現場で検証をおこない改良を重ねたもので、裏付けのある作品となっています。機能のリアリティーと物のリアリティーへ向けて妥協の無い探究が一人一人の学生によってなされました。
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