2007年、2008年とサローネ・サテリテに参加して今年で3年目、最後の出展になりました。一年目、二年目と和紙の作品を展示して来ましたが今回も和紙作品と非常食の柿の種はもちろんのこと新しい素材にも挑戦しました。今回の出展報告とサテリテに3回出展しての感想や実態など報告したいと思います。
一回目は森、二回目は桜をテーマにしてきましたが、今回のテーマは花です。不況や環境破壊など暗い話題ばかりですがこんな時代だからこそ安らぎを与える何かが必要になってくると思います。そんなときに花をイメージした作品をインテリアに取り入れて華を感じてもらえればと考えました。
|
|
5枚の成型合板で作った花びらをスパイラルに組み合わせることによりガラス天板を支えられる仕組みです。簡単な構造ですが110cmほどの大きな花テーブルは木目が美しくダイナミックでかつシンプルです。特長はボルトや釘を使わずに自立する点です。花びらである成型合板を重ねれば小さくなり梱包・配送に便利です。今回はバーチですが、ウォ—ルナットや白いラミネート、ダイニングテーブル用のラインナップも考えております。
制作は山越木工株式会社 http://www9.ocn.ne.jp/~takahara/
|
|
|
|
|
|
|
|
|
曲線の美しい形を心がけ何度も模型を紙で切り合わせて調節し形を考えました。最初は成型合板によるダイニング用のテーブルを考えていましたが、以前からストレッチの布には興味があり急遽ストレッチ布で照明にすることにしました。こんなに複雑な形が出来るのか疑問でしたが結果ストレッチ素材特有の綺麗な曲線や透け感がうまい具合に表現することが出来大変満足のいく作品に出来上がりました。縫製屋さんには最後の最後まで無理を聞いて頂きチャックを着けてもらいました。それにより取外しができて洗えたり、着せ替えが出来たり、色のバリエーションを楽しめたりと作品の幅がふくらんだと思います。
制作は株式会社キヌガワ京都 http://www.stretchforme.com/
|
|
|
|
|
|
|
|
|
蓮の花をイメージした柄を50年のベテラン和紙漉き職人さんに漉いてもらい、岐阜の伝統工芸の提灯の技術でヨーロッパテイストのモダンな照明を目指しました。提灯ですのでフラットに畳めて軽く配送にはもってこいです。ヨーロッパのホテルなどに飾られる風景をイメージして作りました。
制作は株式会社林工芸 http://www.fores.co.jp/
|
|
|
|
|
|
|
|
|
展示会場では草原に3種類のちがったマテリアルを使った作品が咲くというイメージでブースのデザインをしました。床に紙で作ったクローバーを敷き詰めその中に作品が埋もれているイメージです。
|
|
|
|
|
|
|
|
展示中は沢山の人から色々な意見を頂きました。今回の展示ではヨーロッパテイストをイメージしてデザインを考えたつもりだったのですが、沢山の人からとても日本的だという指摘に驚きました。例をあげるとボルトを使わずに自立するように考える点や、ファスナーを用いて複雑な形を着せかえられるところまで追及する点や、ディスプレーで細かなクローバーを床に敷き詰めきめ細い演出をしたり、ブースの演出はシンプルで作品を目立たせるなどです。改めてヨーロッパとの考え方の違いを感じました。人は誰でもないものねだりな点があります。海外では日本人である事を特徴にして自分にしか出来ないようなデザインを追求しこれからやっていけばよいのかとも思いました。
岐阜県出身ということで3年間美濃和紙の作品を展示し和紙業界の活性化に少しでもつながればと考えていますがいくつか結果が出てきています。1年目のMori lightは遠藤照明さんから商品化になり、海外ではイタリア在住のデザイナーとのコラボでCasaNova社(http://www.casanovatrends.com/)から和紙とシャンデリアのシリーズが、デンマークLeklint社からは和紙のシェードが商品化(http://www.leklint.dk/212.aspx)され更なる新しい商品の開発を進めています。その他海外の小売店からも販売以来が来ています。これからも和紙業界の活性化のために色々と活動を続けていけたらと思っております。
サローネ・サテリテに3回参加してみて思ったことは展示会の偉大さです。デザインがしたくて闇雲に脱サラして3年半。仕事依頼も無くとりあえず何かしないと、と思い飛びついたのが若手デザイナーが参加出来るサローネ・サテリテです。サローネのお陰で実績も何もない自分に耳を傾けてくれる会社が現れ、海外の会社とコラボ出来たり商品として売り出されたりと本当に感激と激動の3年間でした。これで若手のデザイナーは卒業です。これからは世の中に存在価値のある作品作りや海外出店の経験を活かした仕事をしていきたいと思っております。
3年間嫁さんには温かく見守ってもらいとても感謝しております。今回も作品作りや出展に携わってかなりのわがままを聞いて下さいました沢山の方々、期間中にサテリテブースに来て頂いた方々、その他沢山のお世話になりました皆様、本当にありがとうございました。
|
|