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レポート
2005 ミラノサローネ特集
中塚重樹(WA-QU) : Milano Slone 2005 Report !
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← 杉木源三のデザインによる会場構成。白く塗られた柱、梁で構成された京の町屋空間を日本の職人が現地で組み上げた。
【WA-QU Design Made In Kyoto】
京都在住のデザイナー・グループによる、「和」をテーマとしたWA-QU展は今年で3回目のサローネ出展となります。
今回はサブタイトルにデザイン・メード・イン・キョウトと付けて日本の、特に京都を前面に押し出しての展示を試みました。
さらに、各デザイナーの作品は元より展示設営に到るまで、全て日本で製作しノックダウンして船で運び、日本から職人がやって来て組み立てを行いました。昨年の経験から緻密な施工は現地の業者では出来ないという判断からです。今年のWA-QUは徹底的にメード・イン・ジャパンに拘りました。
WA-QU
谷口一也デザインの畳敷きベッドとナイトテーブル。掛け布団はSOUSOUのもの。
WA-QU
角 直弘デザインのブナの突き板を積層したラウンジチェアーと、天板にスライスしたひのきを重ね張りしたテーブル。
WA-QU
左:杉木源三デザインの正座用スツール。右:ぼんぼりスタンドランプ。中:山下順三デザインの竹を編んだフレームに漆塗りの天板を載せたテーブルと照明器。
WA-QU
寺尾 純デザインの表面を焼いた桐材のチェストと和紙にLEDを漉き込んだ照明器。
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関 聡志デザインのアルミのフレームに表面に檜を貼ったテーブル、チェアー、スツール。
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堀木エリ子デザインによる路地照明。和紙で出来た花びらが開いたり閉じたり。
展示会の内容としては、作品のディスプレイだけでなく、テーマゾーンに辻村久信のデザインによるモダンでありながら伝統を踏襲した茶室を設えて、お茶会のパフォーマンスを行いました。
日本の伝統的な茶の湯のお点前に見る作法を通じて、立ち居振る舞いをも空間デザインの要素として提案したいとの考えからです。
ヨーロッパ人には理解し難いのではないかと案じていましたが、意外にも日本文化への彼らの憧憬と興味は想像以上のものがあるようで、12日のプレス・プレヴューから多くの来場者で賑わい、お点前の手元を覗き込む目は真剣そのものでした。
WA-QU
辻村久信デザインの茶室。光る飛び石を渡ってにじり口から茶室へと入る。
会期中お茶会に訪れた、ALESSIやMAGISのデザインで知られるSTEFANO GIOVANNONI氏は興味深く我々のブースを眺めて次のように語ってくれました。
「現在、イタリアでは中国やその他のアジア各国からの多くの若い学生がデザインを学んでいる。彼らは自国の文化から派生する新しいデザインを生み出そうとしており、それはとても意義深いことである。デザインは生産と深く結びついているし製作現場を離れたデザインは長続きしないだろう。今やアジアは世界中の工場となっており、その状況がアジアのデザインレベルを急速に押し上げている要因だと思う。その意味で、生産をコストの安い他国に下請けさせている現在のイタリアデザイン界に非常に危機感を抱いている。日本も同じく日本独自の物作りの現場からのアイディアをデザインにもっと生かすべきだろう」と。
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辻村久信デザインの茶室。
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茶室の中のお点前を覗き込む来場者。
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ヨーロッパ人も正座してお茶を戴く。
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茶室の内部。
今年のサローネを見ての私の感想は、多くの人が感じたであろう日本のデザインレベルの高さである。1970年代以降、西欧モダンデザイン一辺倒で来た日本のデザインが西欧に追いつくのは時間の問題だったわけだが、この先は果たしてどうなるのだろうか。
今や、すでに方向を見失ったかのように見えるヨーロッパのデザインから離れて、日本独自のクリエーションを見つめ直す時期が来たのかも知れないと強く思う。
WA-QU展プロデューサー 中塚 重樹
WA-QU
茶室の内部。
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