レポート イベント、アートフェス、見本市、新店舗など、編集部目線でレポート
ミラノサローネ・サテリテ参加レポート
若手デザイナー作品が集まる、Satellite への挑戦
2012/04/18
レポーター:荒木宏枝
イタリア・ミラノで毎年4月に開催される国際家具見本市、通称「ミラノサローネ」。そのメインとなる国際展示場内に若手デザイナー専用に設けられたスペースが、Satellite(サテリテ)です。世界各国からデザイナーが参加し、自分の作品を世に送り出すためのチャンスの一つとなっています。世界最大規模の家具の見本市だけに、開催期間中の来場者数は30万人近くにも上ります。自身がオーガナイザーを務める、6組のデザインユニット「DESIGN UNION」によるサテリテへの挑戦を、参加エントリーから実際の出展までリポートします。
サテリテ参加への手続き
サテリテへのノミネートから合格通知まで
サテリテを主催するのは、RHO国際展示場の展示をオーガナイズする、COSMIT(コズミット)という団体。コズミットのホームページから、サローネ開催前年度の期限までにノミネートします。その後、募集要項にしたがって、必要書類を送り、当選の通知を待ちます。
当選すると、書類審査の合格通知と共に、規約や登録シートが送られてきます。イタリア語と英語の書類があり、外国からのエントリーには英語の文章が送られてくるようですが、時々間違えてイタリア語の書類が混じっていることもあるとか。
ブースの位置、設備、施工
年明けに、ブースの割り当て位置と施工に関する書類が郵送されてきます。施工の規約やブースの割り当て設備について、大まかな事しか書かれていないので、サテリテを訪れたことがないと、中々理解し難い内容かもしれません。
サテリテスペース内の位置の通知はこの様に知らされます。私たちのチームはA9。サテリテのメインエントランスと本会場との連絡通路どちらからも近く、中々良い位置に配置されました。
参加メンバーとコミュニケーション
参加への準備
コズミットから届く書類には、全体の予定表などはありません。私たちのチームの場合、参加経験者から情報を聞き、どの時期にどのような資料の請求が来るなどの大まかな予測を立てました。また、複数のデザイナーでの参加になるので、まず始めに展示のためのガイドを作成し、メンバーに配布しました。
また、今回は参加メンバーを募集するに当たり、すでにプロとして活動している友人・知人を中心に声をかけていきました。私たちのチームの場合、ほとんどのメンバーが知り合いではなかったため、自己紹介代わりにそれぞれの過去の作品資料をメールで送りました。
参加メンバーの決定
参加希望者に要項を説明し、最終的なメンバーが決定。日本・イタリアで活躍するデザイナーでの複合チームとなりました。それぞれの専門分野も、プロダクト、建築、インテリア、グラフィックと実に多種多様です。
展示自体も、それぞれの強みを活かせるようテーマを特に設定せず、参加チーム名もDESIGN UNIONというあえて特色のないものにしました。展示はこのデザインユニオンに加盟する、Arakitalia、Flange、Future's、Mi+Ko、Noto、Yokosha 計6グループでの参加となります。
日本とイタリア間での打ち合わせ
国を越えてのコミュニケーション
私たちのデザインユニオンは、日本からの参加者やイタリア人デザイナーを含む、国際チームです。それだけに、時差や言語の問題で、コミュニケーションが通常よりも困難です。主な連絡手段はEメールですが、実際に会話をする必要があるときに利用したのがSkypeです。今回のプロジェクトではなくてはならないツールの一つでした。
イタリアのメンバーとは、日本のメンバーからの意見や提案を説明しながら、直接協議していきます。打ち合わせに欠席したメンバーへの説明を兼ねて、話し合いの結果はメールで全メンバーに通知。日本語とイタリア語両方で内容をメールに書かなくてはならないため、かなりの労力が要りますが、合同プロジェクトのためには必要な作業です。
レイアウト案
異なるコンセプトの6作品を4x4mのスペースに配置することになるため、お互いの作品の雰囲気を損ねないようレイアウトを決定します。メンバーからそれぞれの作品概要やレイアウト案を提出して貰い、予算や期間のことも考えて審議。それぞれの主張があって、折り合いが付き難いところですが、最終的には、来場者の動線や、展示台を含む作品のボリュームなどを考慮して決定しました。
チャンスを求める世界中の若手デザイナーが出展する、ミラノサローネ・サテリテ。その大舞台に初挑戦する、国籍や活動する地域も異なるデザイナー達が、どのようにサテリテを迎えるのか。今回は、一つの展示を共同で作り上げていくその第一過程をご紹介しました。