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京都の古寺 庭を読み解く

京都の古寺 庭を読み解く

切っても切り離せない京都の「寺」と「庭」の関係

著者 白幡洋三郎
発行 淡交社
仕様 四六判 224頁
ISBN 978-4-473-03798-5
価格 2,100円 (税込)

京都の古寺 庭を読み解く

庭園研究を専門とする著者が、京都の寺院中、特筆すべき庭を持つ30の寺の庭園およびお寺の境内や周辺の景観をも含めて実見、分析。冒頭の[東寺]の章からしてすでに、「伽藍」や「庭園」の語源をたどり、万葉集を引いて「にわ」と「その」の空間性の違いに言及するなど、単なる庭園のガイドとは一線を画している。「寺」と「庭」の関係、「庭」と日本文化の関わりについて広範な視点から考察できる一冊。

【目次】
序論「京都の庭論」

[東寺] 東寺の「にわ」 
[西本願寺] 虎渓の庭と白書院
[東本願寺] 門徒衆をもてなす「園」と「殿」
[東福寺] 「伽藍面」に別荘・月輪殿の記憶
[泉涌寺] 仏の庭と神の庭
[智積院] 学問の寺ならではの軽快感と華麗さ
[妙法院] 平重盛「小松殿」の庭園を空想
[知恩院] 京都の庭にあらわれる東国・鎌倉の風
[青蓮院] 花の庭・数寄の庭から緑濃き寺に
[南禅寺] 貴族遊興の庭から禅の庭への変身
[禅林寺] 日本的な隠遁の雰囲気を満喫する
[法然院] 現代人が希求する清浄感
[銀閣寺] 隠れ家の社交空間
[曼殊院] 座敷飾りの庭
[三千院] 境内すべてが庭園
[寂光院] 建礼門院の花園
[相國寺] 幕府直営の禅寺のにわ
[大徳寺] 「野の寺」で究められた枯山水の庭園
[金閣寺] 奇想を凝らした遊興庭園
[龍安寺] 隙間の多さが謎を生む
[等持院] 高師直の泉水と茶庭が共存
[妙心寺] 中世の「庭」から近世の「庭園」へ
[仁和寺] 閑静な宮廷の庭と庶民的な桜の園
[大覚寺] 唐風宮苑を理想とした平安初期の貴族たち
[神護寺] 山内の紅葉は即ち神護寺の庭園
[天龍寺] 「山水に得失なし。得失は人の心にあり」
[西芳寺] 「日本様式」の苔庭
[醍醐寺] 醍醐の花見
[平等院] 末法時代の浄土庭園
[浄瑠璃寺] 浄土はここ、現世にある

【著者】
白幡洋三郎(しらはた・ようざぶろう)
1949年、大阪府生まれ。国際日本文化研究センター教授。京都大学農学部助手、国際日本文化研究センター助教授を歴任。1994年『プラントハンター―ヨーロッパの植物熱と日本』で毎日出版文化賞奨励賞受賞、1996年には日本造園学会賞を受賞。著書『彩色みやこ名勝図会―江戸時代の京都遊覧』など。

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