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イメージの前で 美術史の目的への問い

イメージの前で 美術史の目的への問い

当代きっての美術史家ユベルマンの初期代表作

著者 ジョルジュ・ディディ=ユベルマン
著者 江澤健一郎
発行 法政大学出版
仕様 四六判 上製 504頁
ISBN 978-4-588-00971-6
価格 4,830円 (税込)

イメージの前で 美術史の目的への問い

ガストン・バシュラール『空間の詩学』やジョルジュ・アガンベン『スタンツェ―西洋文化における言葉とイメージ』など、芸術家、デザイナーにインスピレーションを与える人文書というものがある。ジョルジュ・ディディ=ユベルマンの前邦訳書である『イメージ、それでもなお』もまさにそれにあたり、アウシュビッツ絶滅収容所から持ち出された4枚の写真のように、限定されたイメージから歴史を想像することの意義を説いた本書は、日本で刊行されるや表象文化界隈を中心に議論を呼んだ。

今回紹介するのは、そんなユベルマンの初期代表作。ルネッサンス期以降、学問としての美術史はいかなる知の言説として確立されたのか。ヴァザーリによる人文主義的美術史の発明から、パノフスキー的イコノロジーの成立にいたる美学の歴史を、表象の裂け目に現れるフロイト的「徴候」への眼差しを通じて批判的に解体する。

【目次】
提起される問い
第一章 単なる実践の限界内における美術史
第二章 再生としての芸術 そして理想的人間の不死性
第三章 単なる理性の限界内における美術史
第四章 裂け目としてのイメージ そして受肉した神の死
補遺 細部という問題、面という問題
〈付録〉内容紹介文
訳者あとがき
図版目録
人名索引

【著者】
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(Georges Didi-Huberman)
哲学者、美術史家。1953年6月13日生(サン=テティエンヌ、フランス)。リヨン大学で哲学の学士号を取得した後、美術史学の修士号を取得。その後、社会科学高等研究院(E.H.E.S.S.)で博士号を取得。1990年から社会科学高等研究院の助教授。日本語訳として『アウラ・ヒステリカ──パリ精神病院の写真図像集』(リブロポート)、『フラ・アンジェリコ──神秘神学と絵画表現』(平凡社)、『ジャコメッティ──キューブと顔』(PARCO出版)、『ヴィーナスを開く』(白水社)、『残存するイメージ──アビ・ヴァールブルクによる美術史と幽霊たちの時間』(人文書院)、『イメージ、それでもなお──アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』(平凡社)がある。

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