デザインウィークも終盤です。
ところで、デザインウィークとは言っても、そもそもそれは何なの?どの分野でどの程度の規模なの?という疑問もあると思います。毎年、その姿を変え、様々な様相を見せる状況なのですが「三十年程前に輸入家具のショールームやショップを中心に始まったデザイナーズサタデーを起点にして、様々な展示やイベントが集まり、結果としてデザインを切り口にしたプロモーションやブランディングのイベントが集中するようになった時期」とは言えるでしょう。だいぶ、省略していますが…。
主要なイベントの名前をあげると
<現在も継続しているイベント>
・デザイナーズ・サタデー(1986-1996)→東京デザイナーズウィーク(1997-2014)→東京デザインウィーク(2015-)
・Msit→ELLE DECOR Design Walk(2000-)
・デザイン・タッチ(2007-)
・AnyTokyo(2013-)
・SHOWCASE(2013-)
<終了してしまったイベント>
・HAPPENING(1998-2000)
・東京デザイナーズ・ブロック(2000-2004)
・デザイン・タイド(2005-2012)
となります。

driade × yamagiwaにて、イタリアの家具ブランドdriadeの名作と新作を中心にインテリアスタイリスト中林友紀さんのスタイリング、家具を中心とした正統派のデザインウィークらしい展示といえるでしょう
とはいえ、ファッションはデザインウィークの少し前が東京におけるファッションウィークですし、国内最大の家具見本市である東京国際家具見本市(IFFT)は今年は11月下旬の開催でしたし、全てが集まっているわけではありません。また、グラフィックデザインやweb等のデジタル系の濃度も低めだと思います。
今ではアートや建築、音楽などにも対象を広げたTOKYO DESIGN WEEKがあって、そのカウンター的なイベントがあり、様々なショップやショールームが新製品発表や展示を競い、デザイナーが自主的なプレゼンテーションを行い、商業施設もデザインの催しを強化し、11月3日の文化の日に大多数はフィナーレを迎えます。2013年からは、Gマークで知られるグッドデザイン賞の展示もこの時期に行われるようになり、さらに密度が増しています。

東京デザインウィーク2015後期にて、後藤映則さんの作品、スリット状の光を3Dプリントした物体に当てると人が動きだす。様々なコンテンツを持つ東京デザインウィーク、こうしたデザイナーの自主的なプレゼンテーションもあります

東京デザインウィーク2015後期にて、後藤映則さんの作品、こちらは数字
天気が良かった土曜日、上段で紹介したdriade × yamagiwaと東京デザインウィーク2015後期の他には以下を回りました。個性溢れるデザイン事務所と、デザイナーからの自主的な提案と展示が印象的な日でした。
・how studio 2015/鈴木啓太さん(PRODUCT DESIGN CENTER)
・how studio 2015/長坂常さん(スキーマ建築計画)
・how studio 2015/谷尻誠さん・吉田愛さん(SUPPOSE DESIGN OFFICE)
・土のうプロジェクト @シブヤのタマゴ
・プロダクトデザイン二人展「Beyond the simplicity」
how studio 2015/鈴木啓太さん(PRODUCT DESIGN CENTER)
会期:11月3日まで
会場:PRODUCT DESIGN CENTER
注目のクリエイターの事務所が開放されるhow studio。東京ミッドタウンアワードでの入賞をきっかけに製品化され大ヒットした「富士山グラス」でも知られる鈴木啓太さんの事務所を訪ねました。本人もいらっしゃったので、秘蔵のドイツBRAUN社の素敵なプロダクトのコレクションを見せていただいたり、新作について色々とご説明いただくことができました。

how studio 2015/PRODUCT DESIGN CENTERにて、桜の花型の漆塗り(!)のお風呂の実物模型でくつろぐ鈴木啓太さん

how studio 2015/PRODUCT DESIGN CENTERにて、エントランス右側には富士山グラスの模型も
how studio 2015/長坂常さん(スキーマ建築計画)
会期:11月3日まで
会場:スキーマ建築計画
続いて、引っ越されてから間もないスキーマ建築計画。「壊すことから始めた」という内装は、ほぼ躯体のままに最低限の設備が加えられた状態。打ち合わせテーブルの艶かしい赤色が目を引きます。スタッフ募集中とのことで、オープンスタジオの使い方として上手だなあ、と思いました。

how studio 2015/スキーマ建築計画にて長坂さん、スタッフ募集中とのこと(2015/11/1現在)

how studio 2015/スキーマ建築計画にて、無垢と赤色の対比が面白い
how studio 2015/谷尻誠さん・吉田愛さん(SUPPOSE DESIGN OFFICE)
会期:11月3日まで
会場:SUPPOSE DESIGN OFFICE
本日、三つ目のhow studio。以前も事務所開きの時にお邪魔しています。今回はカフェになっていました。美味しいカプチーノを頂き、事務所のユニフォームというオリジナルデザインの白衣も試着させていただきました。

how studio 2015/SUPPOSE DESIGN OFFICEにて、谷尻さんと吉田さん

how studio 2015/SUPPOSE DESIGN OFFICEにて、事務所のユニフォームというオリジナルデザインの白衣や小物も販売されていました
土のうプロジェクト @シブヤのタマゴ
会期:11月3日まで
会場:渋谷区総合庁舎
解体される渋谷区総合庁舎の全館を使って行われていたイベント「シブヤのタマゴ」にて開催していた2回目の「土のうプロジェクト」。タイトルだけ聞くと?な感じかもしれません。土のうと共にデザインの可能性を広げることを目指すユーモアと真面目さが入り混じった展示です。

土のうプロジェクト @シブヤのタマゴにて、会場入り口、左側に黒い土のうで「ど」と読めるインスタレーション

土のうプロジェクト @シブヤのタマゴにて、渋谷哲男さんの提案「3・5土のう」通常の土のうは20kgだが、女性や高齢者にも分かりやすく扱いやすくする提案

土のうプロジェクト @シブヤのタマゴにて、浅野康弘さんの「ステルス土のう」、反射することで周囲に同化するだけでなく四角い形状で積みやすい
プロダクトデザイン二人展「Beyond the simplicity」
会期:11月3日まで
会場:渋谷ヒカリエ 8/
福岡を拠点に活動するインテリア・プロダクトデザイナー高須学さん(TGD)と、プロダクトデザイナー坂下和長さん(CRITIBA)による二人展。素材、製法、仕上げ、使い手や作り手からの視点など、さまざまな文脈からデザインされたプロダクトが並びます。二人に共通するキーワードは「シンプル」だそうです。TGDは、2015年のミラノサローネで発表したスツール「AXIS OF ROATATION」、CRITIBAは、2015年ドイツred dot awardを受賞した「SHALLOWS」等を展示していました。

プロダクトデザイン二人展「Beyond the simplicity」にて、プロダクトデザイナー坂下和長さん(CRITIBA)による一輪挿し「SHALLOWS」

プロダクトデザイン二人展「Beyond the simplicity」にて、インテリア・プロダクトデザイナー高須学さん(TGD)によるスツール「AXIS OF ROATATION」

プロダクトデザイン二人展「Beyond the simplicity」にて、インテリア・プロダクトデザイナー高須学さん(TGD)による病院用の椅子「DOUBLE ARM CHAIR」