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伊東豊雄らとともに「野武士」世代と呼ばれる建築家・長谷川逸子のスケッチ集。
長谷川逸子・建築計画工房の元スタッフである六反田千恵氏が「どんな経過で長谷川氏の建築が生まれたかを若い人たちに伝えたい」という想いのもと、スケッチ集の制作を薦めた。
コンペの初期案、クライアントへの最初のプレゼンスケッチ、雑誌用の説明スケッチ、出張先や飛行機の中で描き溜めたスケッチ、ホテルの便せんに描いたものまで、さまざまなスケッチがあった。これらのスケッチは人に見せることを前提に描かれたものではない。だからこそ、この建築家の建築への思いが伝わってくる。
―同書「楽しさの哲学(六反田千恵)」から部分抜粋
長谷川氏の初期作品である小住宅から、藤沢市湘南台文化センター、山梨フルーツミュージアム、新潟市民芸術文化会館、珠洲市多目的ホールを経て、パリや上海の最新プロジェクトまで、数々の初期スケッチが収録されている。
多数のスケッチがフルカラーで収録されているため、ビジュアルブックとしても楽しめる。また、スケッチの合間を、長谷川氏の飾らない言葉が風のように通り抜け、心地よく響いてくる。長谷川氏の建築が、「本」としてかたちに現れたかのような一冊だ。
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