デザイナーのこれからのキャリア
第2回:DELTRO代表/アートディレクター/デザイナー 坂本政則氏
2015/04/15 UPDATE
Vol.2独学で突っ走ったWeb黎明期からDELTORO設立に至るまで
― オンスクリーン(Web)の世界に入られたのはいつ頃でしょうか?
坂本:この時期、同時にインターネットの存在を知り、独学で自分のWebサイトを作っていました。当時はWeb黎明期で、Javascriptによるマウス追従スクロールやウィンドウ制御などが流行っていました。さらにMacromedia Flash3.0も出たばかりでWebサイトにいち早く反映させようと躍起になったり、かっこいいWebサイトを探しては相互リンクを貼り合うような時代でした。
― そこで声がかかって、仕事につながったんですね?
坂本:そうですね。僕のWebサイトを見たDRAWING AND MANUALの菱川勢一さんからとあるプロジェクトの依頼があり、それをきっかけに印刷屋を退職し1999年に独立、2009年までの10年間をひたすら独学を重ねて走り続けてきました。
― フリーで手がけられた仕事は主に何だったんですか?
坂本:企業、ファッション、化粧品とひと通りやってましたが、特徴的なものはアニメのプロジェクトですね。「COWBOY BEBOP 天国の扉」「攻殻機動隊」「エウレカセブン」「サムライチャンプルー」などです。元々アニメ好きですから楽しすぎましたね(笑)。
― アニメ系のサイトは反響が良かったと聞いていますが、どういったところが良かったのでしょう?
坂本:好きすぎるということは、作品に対する溢れんばかりの愛に満ちているわけですから、ディティール1つとってもその作品とわかるぐらいに愛を込めてパーツも動きも作りましたし、観ていなければわからないネタも仕込みますし、それらが渾然一体となったサイト全体を見てもらった時に「ああ…観たい!」と思ってもらえるモノを提供したい気満々なのです。きっとそういうオーラが伝わったのではないかと(笑)
- NIKE+ FUELFEST Battersea Power Station, UK - Event, Projection, Installation / Art Direction, Design, Programming (Projection)
- NIKE RUN TOGETHER - Website / Art Direction, Design, Technical Direction, Programming
― DELTROを作ったのは、2009年ですよね。DELTROを設立した経緯を教えてください。
坂本:1999年の独立から2009年のDELTRO設立までは、アートディレクション/デザインをメインでやりつつ、プロジェクトによってはコーディングからFlash実装まで全て自ら行っていたのですが、表現や内部ロジックなどイメージはできても形に出来ないジレンマがすごく強くて、一緒に作ってくれるパートナーをずっとずっと探していたのです。
これまでも数々のプロジェクトを、都度優秀なプログラマーと連携して作ってきてはいたのですが、なかなかパートナーともなると仕事のスタイルや事情などもあり、成就できませんでした。
それこそ当時のテクニカルディレクター/プログラマーで共同設立者の村山健(以下:村山)の活躍も確認していて、またスゴいヤツが出てきたぞと思っていたりも。
そんな折、「NIKE AIR TROUPE」のWebサイトの仕事の話が村山の元に舞い降りてきて、僕を誘ってくれたのです。
この案件自体、関わる人全てが気持ちよく、かつ僕達ふたりに表現の主導権を握らせてくれる形だっただけに、時間はありませんでしたが、やれることは全てやり切ることができましたし、世の中的にも評価していただきました。
制作課程のなかでも村山に驚かされることは多々ありましたが、特に実際に世に送り出した時の達成感は相当なものでした。
それがきっかけとなって、僕から村山にプロポーズしてDELTRO設立となったのです。