第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

2014/01/15 UPDATE

アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの 4 部門でそれぞれ、大賞1作品、優秀賞4作品、新人賞3作品、功労賞としてメディア芸術分野に貢献のあった4名を選出。受賞作品展では応募作品の中から厳選された約120点が一堂に集結し、同時代に創造された多様なジャンルの作品を横断的に見ることができる。ここでは各部門の大賞作品を紹介する。

Vol.2第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品


アート部門

「crt mgn」メディアインスタレーション

Carsten NICOLAI(ドイツ)

本作は、テレビのモニターに映るイメージが、磁石の力を受けて変化するさまを「見る」こと、そして電磁波の作用によって発生した音を「聴く」ことを観客に促す。モニター上には、空間内に設置された4つのネオン管の光が映し出される。天井から吊られているのは、磁石の付いた揺れる振り子。その磁界をテレビに設置されたアンテナが捉え、振り子が通過するたびに、モニター上のイメージは歪んでいく。一方でアンテナは電磁波を分析する装置として音響機材へとつながっている。電磁波の変動が音響信号へと変換されることで、観客はそれを「音」として知覚することができる。本作は、日常の中では人間が感じることができない電磁波を、視覚と聴覚で捉えることを可能にする。

アート部門「crt mgn」
© 2013 Carsten Nicolai. All rights reserved.
Photo : Uwe Walter Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery

エンターテインメント部門

「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」
映像、ウェブサイト、メディアインスタレーション、サウンド

菅野 薫/保持 壮太郎/大来 優/キリーロバ ナージャ/米澤 香子/関根 光才/澤井 妙治/真鍋 大度(日本/ロシア)

走行データを用いてドライブをデザインする本田技研工業のカーナビゲーションシステム「インターナビ」。その独自の技術と歴史をひもとくため、1989年のF1日本グランプリ予選でアイルトン・セナが樹立した、世界最速ラップの走行データを用い、彼の走りを音と光でよみがえらせた。エンジンやアクセルの動きを解析し、実際のMP4/5マシンから録音したさまざまな回転数の音色と組み合わせることで、当時のエンジン音を再現。全長5,807mの鈴鹿サーキット上に無数のスピーカーとLEDを設置し、再現した音を走行データに合わせて鳴らすことで、24年前の走りを表現した。

エンターテインメント部門「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」
© Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates.

アニメーション部門

「はちみつ色のユン」ドキュメンタリー・アニメーション

ユン/ローラン・ボアロー(ベルギー/フランス)

朝鮮戦争後の韓国では、多くの子どもが養子として祖国を後にした。その中の一人「ユン」は、ベルギーのある一家 に“家族”として迎えられた。肌の色が異なる両親と4人の兄妹とともに生活を送る中で、フランス語を覚え、韓国語や孤児院での生活を忘れることができた「ユン」。そんな時にもう一人、韓国からの養女がやってきて“家族”に加わった。彼女を見て、「ユン」は自分が何者なのかを意識し始める――。韓国系ベルギー人のユン監督が自身の半生を描いたマンガをもとに、ドキュメンタリー映画監督ローラン・ボアローと共同監督したアニメーション。現代のソウル、そして1970年当時のユン監督が写された8ミリフィルムや記録映像による実写と、手描きやCGによる3Dアニメーションといった多彩な手法でシーンを描き分け、アニメーション表現の可能性を切り拓く。肌の色が違っても、血のつながりがなくても、愛に満ちている“家族”のあり方を本作は物語っている。

アニメーション部門「はちみつ色のユン」
© Mosaïque Films - Artémis Productions - Panda Média - Nadasdy Film - France 3 Cinéma – 2012

マンガ部門

「ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―」

荒木 飛呂彦(日本)

M県S市杜王町。震災で隆起してできた土地である通称「壁の目」で、一人の青年が発見された。記憶を失っていた彼は「東方定助」と名づけられ、さまざまな手がかりを元に自らの素性を探る。東方家の秘密と思惑、杜王町で起きた過去の事件、定助の素性をたどる重要な手がかりとなる「吉良吉影」なる人物……さまざまな謎に定助は巻き込まれる。緻密なストーリー構成、超能力を目に見える形で表現することでマンガ表現に革命をもたらした概念“スタンド”によるバトルに加え、サスペンスにも更なる磨きをかけ、多くの読者を惹きつけた。連載28年目を迎えた「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第8部。

マンガ部門「ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―」
© LUCKY LAND COMMUNICATIONS/SHUEISHA

第17回 文化庁メディア芸術祭

INDEX

会場構成:中村竜治インタビュー

VOL.1

会場構成:中村竜治インタビュー

第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

VOL.2

第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

開催情報

第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

お問い合わせ

文化庁メディア芸術祭事務局
[一般受付] 03-5459-4755(9時~20時)
http://j-mediaarts.jp/