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第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

2014/01/15 UPDATE

アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するメディア芸術の総合フェスティバル「文化庁メディア芸術祭」。今年は過去最多となる海外83の国と地域から2,347作品を含む合計4,347の応募があり、受賞作品が決定した。2014年2月5日から16日まで、東京・六本木の国立新美術館を中心に開催される受賞作品展に向け、今回会場構成を担当する建築家・中村竜治氏にお話を聞いた。

Vol.1会場構成:中村竜治インタビュー

巨大なホワイトキューブに垂れ下がる糸の天井
壁で区切らないワンルーム空間を、シンプルな回廊状の動線でみせる
入口付近から見たところ。天井の中央が垂れ下がった広い空間
入口付近から見たところ。天井の中央が垂れ下がった広い空間
入って左壁面を見たところ。壁沿いは天井が5mと高くなっている
入って左壁面を見たところ。壁沿いは天井が5mと高くなっている
入って右壁面を見たところ。糸は部屋の対角線に平行に10cm間隔で吊られている
入って右壁面を見たところ。糸は部屋の対角線に平行に10cm間隔で吊られている

― 今回の展示構成におけるコンセプトや狙いをお聞かせください。

中村:メディア芸術という有形無形の多様な表現をあえて一カ所に集めて展示することに意味を見出したいと思いました。それには、ここに来て初めて感じられる空間、この場所ならではの展示構成を考えればいいのではと思いました。この国立新美術館の展示室の最大の特徴は、2000m2という広大な柱の無い平べったい箱型の空間であるということです。縦58m×横33m×高さ5mという広さとプロポーションを持った部屋は、他に類を見ないと思います。このことをこの場所の特徴と捉え、それを生かした空間にしようと思い、壁の無いがらんとした空間にしました。壁が無いかわりに中央が少し垂れ下がった天井をつくりました。これが、何も無い空間に変化を与え、回廊状の動線を生み出します。

― 今回の展覧会の見所は?

中村:少し大げさですが、向こうの壁がかすんで見えるような広さが見所です。また、垂れ下がった天井は、糸を10cm間隔に吊ることでできていますが、それが巨大な空間で実現されるとどうなるのか自分でも想像つきません。

― 空間をつくる素材として「糸」を選んだのはなぜですか?

中村:壁の端と端で糸を吊ると、最大で56mぐらいの曲線(懸垂線)が生まれ、それが部屋の広さをより強調するのではないかと思いました。例えば、メッシュのような面状のものも考えられるのですが、一本の糸を並べて面をつくった方がより距離が強調されるのではないかと思いました。

― 空間を分けること、「壁」についてどのような意識をお持ちですか?

中村:展覧会の会場構成をやるときは、常にその展示空間全体が感じられるような会場構成を考えます。壁はあってもいいのですが、空間を完全に区切って細切れにしないようにし、その展示室の特徴が浮かび上がるような構成がいいなと思っています。

― アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガ、広範な領域の作品展示を構成するうえで特に注意された点は何ですか?

中村:部門ごとに明確に区分されていない方が自然だと思ったので、各部門を意識しつつも、それらを等価なものとして、領域を横断しながら扱うように心がけました。

― 構成段階の手法について、苦労されていることなどありますか?

中村:簡単な模型をつくって考えるのですが、1日最大1万人も来場者があるとのことで、そのためのシンプルな動線と作品の見やすさということに悩みました。結果、壁の無い広いワンルームの空間という答えに行き着きました。糸は、よれずに綺麗な曲線が出るものや素材としてしっくりくるものがなかなか見つからず、何度も検討を重ねました。

平面スケッチ
平面スケッチ。壁は立てずに広い空間がある。広いので、距離が各展示物を隔てる
断面スケッチ
断面スケッチ。中央が垂れ下がった天井があり、壁沿いに天井の高い回廊状の空間が生まれる
有形無形の多様な表現
普段見慣れている「メディア」というものを改めて意識する良い機会

― 受賞作品やメディア芸術祭全体に対する感想をお聞かせください。

中村:審査で選ばれた作品を見せていただきましたが、作品に対する理解がとても深まり、展示空間を構成する上でも有意義な時間を過ごせました。このイベントは、普段慣れすぎて意識に上らない「メディア」というものを意識する良い機会だと思います。

― 受賞作品を観る前と観た後では、何か変化がありましたか?

中村:エンターテインメント性が高い芸術だと思います。「昔、絵画もきっとそうだったんだろうな。」といったようなことを考えさせてくれます。

― 来場者へのメッセージをお願いします。

中村:作品の特性を生かしつつ、そこでしか感じられない空間を設計しましたので、是非、実際の会場にお越し下さい。

中村竜治 氏

中村竜治/Nakamura Ryuji

1972年長野県生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了後、青木淳建築計画事務所を経て、2004年中村竜治建築設計事務所を設立。主なプロジェクトとして、2005 年「へちま」(椅子)、2009 年「空気のような舞台」(新国立劇場オペラ「ル・グラン・マカーブル」舞台美術)、2010 年「とうもろこし畑」(東京国立近代美術館「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」)他。2006 年「グッドデザイン賞」。2007 年「THE GREAT INDOORS AWARD」(オランダ)、「JCD デザインアワード」大賞他、多数の受賞歴がある。

第17回 文化庁メディア芸術祭

INDEX

会場構成:中村竜治インタビュー

VOL.1

会場構成:中村竜治インタビュー

第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

VOL.2

第17回文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

開催情報

第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

お問い合わせ

文化庁メディア芸術祭事務局
[一般受付] 03-5459-4755(9時~20時)
http://j-mediaarts.jp/

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