WEBマガジン「BRUSH-STROKE」スペシャルコラボ企画 渡邉良重、植原亮輔(KIGIキギ/アートディレクター)

WEBマガジン「BRUSH-STROKE」スペシャルコラボ企画
渡邉良重、植原亮輔(KIGIキギ/アートディレクター)

2012/11/29 UPDATE

Intuos、Cintiqなど、ペンタブレットの分野で表現者たちに併走してきたワコムが、初のWEBマガジン「BRUSH-STROKE」を創刊。スペシャルコラボ企画として、2012年1月、宮田識氏率いるデザインカンパニー・ドラフトから「KIGI(キギ)」として独立をはたしたアートディレクター、渡邉良重氏と植原亮輔氏にお話を伺った。ターニングポイントとなった独立一年目の心境や、キギでのこれからの構想、ものづくりに対する姿勢など、「その先の自分へ。」をテーマにクリエーターとしての軌跡に迫る。

Vol.1独立したからこそできること

ターニングポイントとなったドラフトからの独立

宮田識代表を筆頭に、華々しい賞歴を誇るアートディレクター/デザイナーたちが多数在籍するデザインカンパニー「ドラフト」。渡邉良重氏と植原亮輔氏のふたりは、昨年まで長年に渡ってここに席を並べてきた実力派だ。渡邉氏は「絵を描きながら続けられそうな仕事に」と美術教員を志すも、教育実習中に「グラフィックデザイナーになる」と思い直してドラフトへ。

一方、大学ではテキスタイルを学んでいたため、グラフィックデザインのイロハは知らないままにドラフトの門を叩いたという植原氏。

植原亮輔
植原亮輔 うえはらりょうすけ
アートディレクター/クリエイティブディレクター

そんなふたりがドラフトで手がけてきた仕事といえば「une nana cool」や「caslon」「PASS THE BATON」などのブランディング、そのほかドラフトから生まれたプロダクトレーベル「D-BROS」の商品群などがあげられる。これらの仕事の多くは、渡邊氏と植原氏のパートナーシップをベースとして生み出されてきた。

ふたりのドラフトからの独立は必ずしも能動的なアクションだったわけではない。ドラフトに所属していたアートディレクターたちが、各自の活動と並行しながらドラフトとの協業関係を維持していく「ドラフト・クリエイティブ・フランチャイズ・システム」を宮田氏が発案し、それに背中を押されたのだという。

自己責任で動けるからいろいろな仕事にチャレンジできる

渡邉:宮田さんの口から「独立すれば?」という言葉が出てきたときは驚きました。私は、宮田さんがいる限り、ずっとドラフトに居続けるのだろうと思っていたので。

植原:独立して自分の力を試したい気持ちが皆無だったわけではないけれど、それにともなう手続きを考えると面倒だったし、宮田さんへの恩を考えると、宮田さんが仕事し続ける限りは、僕もドラフトにいようと思っていた。でも、宮田さんに背中を押されて、渡邉と一緒に独立してから、とにかくいろんな仕事が増えて、手応えを感じているところです。

渡邉:自分たちの判断で動けるから、フットワークが軽くなりました。ドラフトにいた頃だと、規模的に小さすぎて請けにくい仕事にもチャレンジしやすくなったり。

植原:ビジネスになるかわからない相談に対しても積極的に取り組みやすくなったってことですね。自分たちの会社でなら、自己責任で動けるので。だからこそ、仕事になるかどうかわからない段階でも、現地まで出張に行ってしまうとか。総じて、以前よりも不便になったことは多少あるけど、苦労はそんなにない。というか全体的に、すごく前のめりです。「早くアイデアを出したい。早く作りたい」という気持ちが高まっている。それは仕事に対してだけでなく、作品づくりに対しても、ボランティア的な活動に対しても。キギをスタートしてもうすぐ一年、やっとエンジンが温まってきました。

デザインだけで終わらない、社会に影響を与えるような仕事がしたい

渡邉:来年以降もいろんな構想があるけれど、私は本を作るペースを、前よりも少しアップしたいですね。絵本などの。

植原:受注の仕事も大事だけど、自力でも何かやりたい。スープストックやパスザバトンを手がけた遠山正道さんと知り合って思ったのだけど、自分で創造したことを形にして、社会に大きな影響を与えていく遠山さんの生き方は、まるでアーティストみたいだな、と。それは宮田さんがD-BROSでやってきたことにも似ているけど、これからの創り手は遠山さんのようにビジネスに理解があったほうがいい。これまでのようにデザインして形にするだけではなく、自分で種をまいて、形にして、売ってと、すべてを手がけていけたら可能性はもっと広がるから。

渡邉良重
渡邉良重 わたなべよしえ
アートディレクター/デザイナー

渡邉:もちろん受注の仕事にも、これまで通り求められる限り応えたい。けれどもブランドの起ち上げだけを頑張って終わりではなく、その後も高いテンションを維持して継続できるとうれしい。そういった仕事に携わりたいという思いは強いですね。

Intuos

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独立したからこそできること

VOL.1

独立したからこそできること

人の力を借りれば、悩みはなくなる

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人の力を借りれば、悩みはなくなる

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