伝統と革新のデザインの融合 ドイツのコンテンポラリージュエリーにみるクラフトマンシップ

伝統と革新のデザインの融合
ドイツのコンテンポラリージュエリーにみるクラフトマンシップ

2012/04/25 UPDATE

Vol.2ゴールドのグラデーションを可能にする卓越した冶金術

レッドからグレーへと変化する美しいグラデーションのリング。これは表面的に色が変化しているのではなく、冶金によって金属の組織を巧みに操った結果生み出されたものだ。冶金とは、リングやネックレスの素材である金属板を製造する際の金属の配合技術のこと。優れたデザインのジュエリーを生み出すためには、素材となる地金をいかに巧みに操るかという点が非常に重要なポイントになる。

1975年にドイツにおけるプラチナ市場躍進のきっかけとなった、純金とプラチナを溶接する技術を発見するなど、Niessingはこれまでにその優れた冶金術によってジュエリー業界に新しい旋風を巻き起こしてきた。なかでも、純金に銀や銅、パラジウムなど加えることで生み出される多彩なカラーリングが特徴の18金合金は、同ブランドがジュエリー製作における冶金術の重要性を認識している証とも言える存在だ。

ジュエリーにおいて、主要パーツに純金(24K)を使用することは少ない。なぜなら純金のままでは強度が乏しいからだ。それを補うために他の金属を割り合わせるのだが、ゴールドは他金属と合金することで、その色味を大きく変化させる。例えばパラジウムを加えればグレー系、銀ならグリーン系、銅ならレッド系、銀と銅を共に合金すればイエロー系に変化する。この特性を活かすことにより、ゴールドを基調にした多彩な色調を生み出すのが世界トップレベルの冶金術だ。

ただし、合金は単純に数値的な割合の話では済まず、正確な温度調整といった長年培ってきた職人の経験と勘が必要になってくる。そういった職人の技術は、調達から製品化まですべての工程をほぼ自社内で行うシステムによって継承されてきた。

Niessingは製造部門からデザイン部門まで、ブランドの本拠地であるドイツ郊外の街、フレーデン近郊に集中させている。コスト削減の目的から生産拠点を海外へシフトし、工程を分業化するメーカーが多い中、希有な生産体制と言えるだろう。しかし、これにより蓄積された知識やデータを確実に継承することができ、また技術の流出を防ぐことができるため、独自性の高いジュエリー製作を実現することが可能になるのだ。

優れた冶金術があればデザインはより自由になる。また自由なデザインを実現するために冶金術は常に進化し続ける。

AURA
AURA ─ オーラ ─
レッドからグレー・ゴールドへの美しく繊細なグラデーション。身につける人によって違った表情をみせる小さな芸術品だ
世界トップレベルの冶金術
世界トップレベルの冶金術(やきんじゅつ:金属の配合技術)が生み出す美しい地金のバリエーション。厳選された純金に、銀や銅、パラジウムなどの素材が混ざり合うことにより多彩な色調が生まれる
他社の追随を許さない豊富な地金の知識
他社の追随を許さない豊富な地金の知識。地金から自社で製造してきたからこそ得られるデータの数々は、新たな作品を生み出すための貴重な資料となり、それらは確実に後世へと引き継がれている

NIESSING

INDEX

宙に浮いたダイヤモンドのモダニズム

VOL.1

宙に浮いたダイヤモンドのモダニズム

ゴールドのグラデーションを可能にする卓越した冶金術

VOL.2

ゴールドのグラデーションを可能にする卓越した冶金術

機能と造形美を一体化 ジュエリーの新しい価値観

VOL.3

機能と造形美を一体化 ジュエリーの新しい価値観

バウハウスの流れをくむ究極のシンプル 受け継がれるブランドフィロソフィー

VOL.4

バウハウスの流れをくむ究極のシンプル
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TEL:03-3499-1868
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