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12カ月のパリ
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第17回 (2)
照明器具 DAL




■ DALプロジェクトの経緯
Ambient Intelligence(環境インテリジェンス)プロジェクトを目指すVIOLETは、
3つのエヴィデンス(証拠)をコンセプトのキーワードに
 1. 情報の息詰まり
 2. 画一化された商品
 3. 造形
を改善し、
 1. 情報の選別
 2. 個人の尊重
 3. エレクトロニクスによるミニチュアサイズ
と変換した商品がDALである。 【写真 5】

DALのコンセプトを別の比喩で例えてみると、アラジンの“魔法のランプ”のように、呪文を唱えて反応するインタラクティブな存在。しかし、フランス語で建材タイルや敷石のことも、スペルこそDALLEであるが、異口同音である。形状からすると、後者に似ているように思える。

「当初は、卵型の流線型を描いてみましたが、やはりLEDが放つ色合いが均一に表現されにくいために、平面形状に落ち着きました。」と説明する、VIOLET創業者でもあるOlivier MEVEL(オリヴィエ・メヴェル)氏は、椅子から立ち上がり、「こうして、DALを覗き込む格好が、単なる受動的なオブジェにならない意味も含んでいると思います。この商品は、上から読み取ることが基本です。」と補足した。昨今、感触をあおる素材として、シリコンが多く使用されている。LED光源は、伝熱による素材を変形する恐れがないために、当初DALにも、シリコンを用いることも考慮された。しかし、有機的なフォルムを与えるほどに、人間の心理は、「触りたい。」という欲望が先行してしまう。それでは、せっかくのDALが表現する情報が二の次になってしまうという結論だ。

しかし、VIOLETが創出したDALと同じ機能を果たすシステムは、既にアメリカで開発されており、先駆者でも発明家でもない立場で何が新しく提案できるのか?と考えた暁に、テクノロジーと人間が関わる距離を見直すことが挙げられた。それは、最新の通信システムを導入しながら、プライベートの時間を侵害しがちな電話、又、時間を拘束しがちなテレビやウェブなどの存在に対抗する“静かなテクノロジー”の提案でもある。 【写真 6〜7】


■ DALの商品化
パリのポンピドゥーセンター、ラ・ヴィレットの科学博物館にて展示され、韓国ソウルで開催された見本市“Best Design Exchange”においても紹介されたDAL。フランスの2003年デザイン賞を受賞したばかりだ。
2003年末に販売開始されたが、当初ナンバー入りで50個限定、定価850ユーロ(11万円強)と高価な商品である。

基本的なメカニズムを理解してしまえば複雑な機能ではないが、まだ、一般大衆に向けての商品化を望める状態ではない。一部の建築家たちが、建築空間に納める部品として関心を持っているのが現状である。商品化されてからも、機能の検証が施され、ここまでの努力がプロの守備範囲に留まることなく、日常生活にも浸透していくことを願う。







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【 5 】 VIOLETが提案する環境インテリジェンスのコンセプト図

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【 6 】

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【 7 】 メッセージを受信して、LEDランプが点灯する様子(上2点)

写真・図は、全て ©VIOLET


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