VOYAGER-03の全景 デザイン Miguel Vieira Baptista(MVB)
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EXD(EXPERIMENTA DESIGN 以下EXD)は、1999年に始まり、今年で3度目を迎えるポルトガル リスボン国際デザインビエンナーレである。非営利団体が立ち上げた企画で、主旨の一つに「デザインに境はない」を提唱する。工業製品、グラフィック、サウンド、インテリア、建築といった分野を個々に着眼するのではなく、デザインを社会と交信させるための道具として捉える。そして、広義な文化活動を促進させるための手段であることを主張する。
会期中(9月17日〜11月2日)、市内では講演会、セミナー、展示会などのイベントが各所で開催される。一部のプログラムは、期間限定でもあるので、興味のある方はサイトを参考にされるといいであろう。
■ VOYAGER-03 走行距離 3000kmの旅
EXDが開催される2カ月前より、バルセロナ(7月3日〜12日) → 1000km → パリ(7月17日〜27日) → 1300km → マドリッド(9月9日〜14日) → 650km → リスボン(9月17日〜11月2日)と移動したVOYAGER-03について、パリとリスボンの様子を記してみよう。
VOYAGER-03は、簡単に表現すれば、「旅をするデザインコンテナー」であり、又、EXDの移動式広告塔でもある。コンテナーは、Miguel Vieira Baptista (MVB) によりデザインされたトラックのことで、プロダクト、サウンド、グラフィック、建築といった様々な表現を積載してポルトガルデザインの今日を紹介する。ここでも、重要なのは単なる展示会ではないということ。移動した各所で、環境とそこに集う観衆とのコミュニケーションからプロジェクトが形成されていくという、オペレーション的な要素を見出そうとしている。これは、プロトタイプが完成していくという造形からの観点ではなく、VOYAGER-03の存在が、その訪れた先々で観衆に様々な影響を与え、反響を及ぼすことが狙いだ。
当然、VOYAGER-03に触れた人々の感想は異なるであろうから、その辺の反響も非常に興味深い。
※走行距離は、Michelinの資料をもとにしており、実際の走行距離と多少異なる。
■ 2003年7月17日
パリ市16区の閑静な住宅街に位置するパリ市近代美術館とパレ・ド・トーキョーの前にVOYAGER-03がやってきた。好天気に迎えられ、光沢のある白とオレンジのシンボルカラーのトラックは、一際目を引いた。
アートディレクションとEXD企画監修に就任している3氏、ディレクター Guta Moura Guedes(グタ・ムラ・ゲデス)、アシスタントディレクター Pedro Gadanho(ペドロ・ガダノ)、Joăo Paulo Feliciano(ロアオ・パウロ・フェリツィアノ)よりプレス発表が開かれた後、VOYAGER-03の内覧が行われた。
パリ祭の数日後ということもあり、参加したメディアや関係者の数は少なかったが、3氏より直々説明を受けることができた。トラックの中と外において、40名のクリエーターたちの作品が鑑賞できた。
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