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2007 ミラノサローネ特集
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桐山登士樹+西中川 京 : Milano Slone 2007 傾向分析編
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— 全体 —

センチメンタルかつラスティックなデザインの集大成。美しくてタフ、よりエッセンシャルなデザインへ 今年は、ここ数年続いたレースや刺繍、フェルトの多用というクラシックかつクラフト的な要素で「未完成さ」を売りにしたセンチメンタルでデコラティブなデザインが集大成を迎え、次の時代のデザインへと移行する時期である印象を受けた。作品数はまだ多いもののトード・ボーンチェやスタジオジョブといったベネルクス勢のデザイナーの持つ独特の甘美さに人々が飽きてきたようだ。 一方で美しく大胆、フォーマルでありながらフォルムのラインを際立たせ、素材の持つ表情を最大限に活かすデザインが多くのメーカーで見られた。 昨今の現象として、家具デザインとファッションデザインのトレンドに共通点が見られるということを考慮に入れると、この傾向もなるほどと納得できる。


ポルトロナフラウグループの会場

ポルトロナフラウグループの会場。フィエラ会場の最も目立つ場所に大きく展示。イタリア家具業界のグループ化の動きをあらためて感じる。



Volant by Patrica Urquiola, Moroso

Volant by Patrica Urquiola, Moroso

甘さと強さを兼ね備えるデザインが魅力的。他にもB&BやKettelなど多くのメーカーから今年も新作を発表。



メーカーで特に目立ったのはカッペリーニやカッシーナ、トーネットを傘下に置くポルトロナフラウグループ。個々のブランドの個性は活かしつつ、全体で成熟社会における家具デザインの提案が行われていた。またカルテル、モロゾ、ザノッタもブランドの持つ個性とデザイナーの個性を融合させた提案が評価できる。 一方で常に新しい感性でデザインを探求してきたエドラはカバーリングやカラーリングのみの変化にとどまっているような印象を受けた。

デザイナーでは、昨年に引き続きパトリシア・ウルキオラの活躍が目立つ。表装だけではなくゼロからデザインできる力を改めて感じた。一方で深澤直人、リッカルド・ブルマー、ロドルフォ・ドルドーニなどベテラン勢の作品にはより一層の説得力が増した印象。またイネケ・ハンス、モニカ・フェルスター、バーバー・オズガービー、安積伸などのヤングシニアとも呼べる世代の作品数が増えている。若手ではnendoやマルティ・ギシェの台頭が特に著しい。


Itis by深澤直人, Artemide

Itis by 深澤直人, Artemide
今回、エルデコインターナショナルデザインアワードのデザイナーオブザイヤーに選ばれた深澤氏による照明デザイン。シンプルかつ不可思議な魅力を持つ形状と触れる程様々に変わる表情がユニーク


Origami by Riccardo Blumer with Matteo Borghi, Ycami

Origami by Riccardo Blumer with Matteo Borghi, Ycami

厚さ2mmのアルミを切り抜き、折りたたみ、ビスでとめた椅子。気骨を感じるデザインながら軽さも併せ持つ。より円熟味を増した印象



もちろん次の数年間のデザイントレンドがどのようなものになるのか今年だけで語ることは難しい。個人的にはセンチメンタルでデコラティブなものには終止符を打ち、コンセプトやマテリアルの設定から仕上げまでにおいて、より「核心のフォルム」に迫った力強いデザインが次々と登場してくることを期待したい。

Esedra by Monica Förster, Poltorona Frau

Esedra by Monica Förster, Poltorona Frau

形、色、仕上げに贅沢さを感じることができる作品。他にもソファや椅子を同メーカーから発表。少しだけ懐かしさを感じさせるデザインもまた魅力的


Island Table by nendo, Cappellini

Island Table by nendo, Cappellini

素材、形状、色ともに今年らしさ満載のnendoのデザイン。フィエラ会場では水色×黄色バージョンで展示されていた



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